神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

日本無産派詩人聯盟展覧会が開かれた神田ダブル

萩原恭次郎「表現派・ダダ」『文章倶楽部』昭和3年3月に、表現派について、

わが国においても運動としては若い詩人と画家によつて行はれた。(略)それら(詩人の原稿、画家カンバス−−引用者注)がカフエの壁にぶらさげられて詩展が行はれた。本郷の南天堂、銀座のパウリスタア、護国寺前の鈴蘭(?)、神田の某カフエに、そして作品はその夜の中に全部警察へとり上げられてしまつた。この連中の中には、松本淳三、重広虎雄、陀田勘助、畑山清美、岡本潤壺井繁治、三輪猛雄、伊福部隆輝、細井和喜蔵、筆者その他の諸君がゐた。

この「神田の某カフエ」だが、寺島珠雄南天堂 松岡虎王麿の大正・昭和』に書かれている大正13年4月(又は5月)に日本無産派詩人聯盟展覧会が開催された第二会場神田ダブルのようだ*1。同聯盟は、『赤と黒』、『感覚革命』、『鎖』、『悍馬』の四誌により結成されたものである。ただし、『萩原恭次郎全集』第三巻の年譜には、大正12年7月の欄に「『赤と黒』、『鎖』、『感覚革命』三誌合同主催で、日本最初(?)の詩・展覧会を白山(南天堂)、神楽坂、銀座などで開催」とある。

*1:第一会場は本郷南天堂、第三会場銀座パウリスタ、第四会場神楽坂プランタン、第五会場小石川護国寺前鈴蘭。