神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

竹内好が編集委員を務めた旧制大阪高等学校学芸部の『校友会雑誌』と『図南寮報』ーー大阪高等学校エスペラント研究会ーー

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 いつどこで見つけたか記憶がないが、旧制大阪高等学校学芸部発行の『校友会雑誌』10号(昭和5年11月)が出てきた。値札シール(300円)を見ると三密堂書店っぽい。目次も挙げておく。
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 知らない人ばかりでなぜ買ったのかと思ったら、奥付を見ると委員の一人に竹内好の名前がある。あと、『図南寮報』が2部挟まっていた。これで300円ならお得だと思って買ったのだろう。
 第一高等学校の『校友会雑誌』は著名で復刻版も出ているが、本誌は国会図書館サーチではヒットしない。念のため、大阪高等学校の後身である阪大の図書館OPACを見ても該当なし。大阪高等学校が所蔵していたかもしれない分は、どこへ消えた。『旧制大阪高等学校史』(大阪高等学校同窓会、平成3年10月)によれば、大正13年3月創刊で森田淳一先生(動物)や2年生だった藤沢桓夫の作品が掲載された。昭和14年の24号まで刊行。藤沢の作品が載るような雑誌なら、肥田皓三先生が所蔵してるだろう。
 『竹内好全集』17巻(筑摩書房、昭和57年9月)には、竹内が執筆した9号(昭和5年6月)、10号の後記が収録されている。また、年譜によれば、大阪高等学校文科甲類入学は昭和3年4月、校友会学芸部委員となるのは5年1月である。同期には藤枝晃がいた。また、文科乙類には保田與重郎田中克己がいた。
 『図南寮報』は、前記校史によると、昭和2年2月創刊で15年まで103号を発行した。34号(昭和6年1月)の下段には、古書店3店(東洋堂書店、マツバヤ、井山書店)の広告。学生が古本屋のよい客だった時代。
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 35号(昭和6年2月)には、エスペラント関係の記事。川崎直一「エスペラント運動の三潮流」と「エスペラント研究会認可近し」の記事。後者には、顧問は「岡野森田本田の三教授」とあり、岡野留次郎、森田淳一、本田喜代治と思われる。『日本エスペラント運動人名事典』によると、川崎は昭和10年大阪外語専門学校卒、戦後大阪外大教授、奈良大教授。本田は、大正11年東大卒の社会学者。記事は、現在のところ会員は少数だが具体的な運びに至れば新会員も募集し多数の会員を擁してエスペラント研究のために活動するであろうとしている。
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