ナンダロウさんが6月21日の『新潟日報おとなプラス』に画家水島爾保布(みずしま・におう)に関する記事を書いたらしいので、読みたいと思っていた。しかし、地元以外では国会図書館ぐらいにしか無いだろうなあとくさっていたら、何と記事にも登場するかわじ氏が送ってくださった。ありがとうございます<(_ _)>記事は、戦時中に燕市に疎開し、戦後長岡に移住した爾保布の晩年を探究したもの。爾保布は長岡の東山油田へ来た時に芸妓関川スイと知り合い、東京で同居するようになり、昭和18年頃燕市に疎開。その後移った長岡には爾保布の蔵書、落款、日記、作品、更には南方熊楠、谷崎潤一郎、竹久夢二などからの手紙が多く残っているという。この記事がきっかけとなり展覧会が開催されたり、研究*1が促進されてほしいものである。
私もかわじさんの『水島爾保布 著作書誌・探索日誌』(杉並けやき出版、平成11年6月)に刺激を受け、妻の婦人記者水島幸子、長男でSF作家の今日泊亜蘭と併せて何度か話題にしたことがある。
・「『『食道楽』の人 村井弦斎』余話(その6)」
・「戦時下に迷惑な武林無想庵一家」
・「『婦人画報』記者列伝(その2)」
・「黒岩比佐子『古書の森逍遥』(工作舎)への補足(その4)」
・「今日泊亜蘭の祖父水島慎次郎」
・「「東京の女」、水島幸子」
さて、私とは相性が悪い兵庫古書会館だが、何年か前に100円均一コーナーで爾保布が扉絵を描いたり、寄稿している『新家庭臨時増刊 山水巡礼』(玄文社、大正9年7月)を100円均一で拾ったことがある。爾保布の他にも、表紙が川端龍子、寄稿が吉井勇、田山花袋、志賀直哉、島崎藤村、泉鏡花、中澤弘光、松崎天民、菊池寛など豪華である。爾保布は「十津川下り」と「各地で見た盆踊」を執筆しており、後者にはちょうど、
越後はどこも盆踊は盛んです。長岡市から一寸離れた信濃川沿岸の蔵王といふ所で見た踊などは特に驚くべきもので、集まつた人の数だけでも二百乃至二百数十人位はありました。
云々という一節もある。この時に関川スイと出会ったわけではないだろうが、美人が多い町という印象を持ったのかもしれない。