メモ:町田幸彦「デラシネ備忘録32」『未来』9月号は、「スラヴィク先生の回想」。1996年5月に行った元ウィーン大学教授アレクサンダー・スラヴィクへのインタビューの話。民族学者岡正雄にも若干言及。
ウィーン大学に再入学し、日本学の講座がないため中国学を勉強したスラヴィク先生は、留学中の岡の助言に従い民族学を研究した。博士論文「古朝鮮の文化層」を大学に提出して卒業したが、失業状態だった。経済大恐慌の余波が世界をまだ覆っていた時代だ。1938年初めに岡がウィーンを再訪し、ウィーン大学に開設された日本研究所を主宰する客員教授になると、スラヴィク先生は助手兼講師の職を得た。37歳をすぎて念願の日本学研究者の地位と職場をやっとつかんだ。