神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

SF界の書物蔵と館界の藤倉珊の二人

富士倉、じゃなかった、藤倉珊氏が余桁分彌名義で書いた『日本SFごでん誤伝』(TDSF叢書発行委員会、平成元年8月)が出てきた。ネットでも内容は読める。ただし、書名索引、人名索引、解説(瑣松作京)、藤倉氏の住所及び本名(?)が記載された発行所名を含む奥付、TDSF叢書の刊行予定は、省略されている。刊行予定は冗談かと思っていたら、『マッドサイエンティスト入門』は、翌年8月に発行。ビニールカバー付きだが、私の蔵書では、カバーが溶けたのか、隣にあったジュリアン・シモンズ『コナン・ドイル』(創元推理文庫)のカバーと融合している。なお、『マッドサイエンティスト入門』で予告された『日本SFごでん誤伝の逆襲』も『続・日本SFごでん誤伝』として刊行され、ネットで読めるが、『スターシップと落語』、『「と」論からの発想』、『初めての「と」』などは、刊行されなかったようだ。
藤倉氏の古本への飽く無き探究心、たわけた執筆予告、おちゃらけた文章など、書物蔵氏を彷彿とさせるものがある。SF界の書物蔵と呼ぶべきか。いや、書物蔵氏の方を図書館界藤倉珊と呼ぶべきか。「トンデモ本」を発見した藤倉氏と「大東亜図書館学」を提唱する書物蔵氏。両雄が相見える日は来るであらうか。