神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

詩人としての宍戸儀一

黒岩比佐子さんの「古書の森日記」2008年8月6日のコメント欄で宍戸儀一という人物が話題になったことがある。日本近代文学大事典によると、宍戸は、

宍戸儀一 ししどぎいち 明治四〇・五・五〜昭和二九・八・一九(1907〜1954) 評論家。北海道生れ。はじめマアツァ等によりマルクス主義に拠り、クオタリィ「批評」(昭七)を主宰したが、吉田一穂や福士幸次郎との交友から、後者の民俗学的研究に共感し、鉄の文化の研究に従った。『民族形成と鉄の文明』(昭十七)『古代日韓鉄文化』(昭一九)はその成果である。このほか、『西行法師』(昭一七)そのほか訳書が多い。戦後は鎌倉書房常務として終始した。

ここには書かれていないが、雑誌記事索引データベースによると、『北方詩人』創刊号(昭和2年9月)や同年の『近代風景』に詩を書いている。

この宍戸が、柳田国男の炭焼日記に出てきて、詩人であることが言及されている。

昭和20年11月24日 福士幸次郎君久々に来る。宍戸儀一君同行す、相馬出身の人、詩人のよし。鎌倉書房から生活古典叢書といふ叢書を出すといふ話。
    12月1日 先日福士君と来た宍戸儀一君、鎌倉書房主長谷川君をつれて来る。「栗本鋤雲伝」をくれる、よい本也。昭和十八年出す。

宍戸の出身地については、戦前の文藝年鑑でも北海道とするものと福島県とするものがある。「北方人日記」さんが何かご存じないだろうか。

なお、昭和29年8月20日朝日新聞夕刊によると、肩書きは鎌倉書房常務、文芸評論家で、同月19日没である。