神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

スメラ学塾

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その16)

8 ムー大陸の怪人と『新若人』の快人 雑誌『新若人』には、実はもう一人、重要な人物が、執筆者や、座談会のメンバーとして登場している。 その男は、 元内閣情報部の嘱託で、(注1) 国民精神文化研究所の政治学研究嘱託、(注2) 日本で最初のゲオポリ…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その15)

(番外) 京大地政学 対 東大地政学 『辺境に映る日本』(福間良明著)から 当時の地政学においては、江澤[譲爾]や飯本[信之]とは異なる論理の主張を意図したものがあった。それは、「日本地政学」「皇国地政学」を企図する一派で、小牧實繁(京都帝大)、米…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その14)

7 旺文社社長赤尾好夫とクラブシュメールの宴の日々(承前) 『雪松・高嶋辰彦さんの思い出』(森晴治編)中の「高嶋さんと総力戦」(間野俊夫)によると、 少壮学者の一部を専属の嘱託とし、文部省の「国民精神文化研究所」内に間借りして「国防研究室」を…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その13)

7 旺文社社長赤尾好夫とクラブシュメールの宴の日々 旺文社がまだ、欧文社と称した昭和15年9月に創刊された雑誌『新若人』。『言論統制』によれば、「陸軍情報部が全面的にバックアップした総合雑誌」であり、同誌への鈴木庫三情報官の「熱の入れ方は尋…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その12)

6 実はトンデモ本も書いてた仲小路彰 仲小路は、実はトンデモ本の関係者には多少知られている存在なのであった。 『歴史を変えた偽書』(ジャパン・ミックス編)中「偽史と野望の陥没大陸−”ムー大陸の伝播と日本的受容”」(藤野七穂)によれば 昭和17年5…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その11)

5 春陽堂編集者としての仲小路彰 仲小路彰には色々な顔があるが、スメラ学塾結成の前には、春陽堂の編集者であったという。 小島威彦の自伝『百年目にあけた玉手箱』第2巻によると、 唐木順三の春陽堂版『現代日本文学序説』や富沢の長編『地中海』がきっ…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その10)

4 文化学院校長西村伊作の見たクラブシュメール クラブシュメールを主宰する坂倉準三の妻は、西村伊作の次女ユリであった。 父親の西村は、クラブについて次のように見ていた。 西村の自伝『我に益あり』によると、 私の娘ユリの夫坂倉は友人たちといっしょ…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その9)

3 知的戦士養成機関スメラ学塾(承前) スメラ学塾の終焉はどのような形だったのだろうか。 書物奉行さんの教示によると所在地の西銀座の一角は空襲による焼失地域とのことだが、その前に終焉を迎えていたようである。 『右翼事典』の巻末の年表によれば、…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その8)

3 知的戦士養成機関スメラ学塾(承前) 市河彦太郎は、外務省文化事業部第二課長。後に、文化学院の西村伊作が不敬罪で検挙され、有罪判決を受けた時、身元引受人となって釈放に尽力した人物。 石原廣一郎は、石原産業会長。マレー半島の鉄鉱石採掘、南洋資…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その7)

3 知的戦士養成機関スメラ学塾(承前) それでは、原智恵子と面識があり、小島威彦への取材も行った石川康子さんの『原智恵子 伝説のピアニスト』(ベスト新書)を見てみよう。 神田の学士会館と向かい合う共立講堂を借りて開講されたスメラ学塾は、あの小…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その6)

3 知的戦士養成機関スメラ学塾(承前) 坂倉準三、川添紫郎らのクラブシュメールと仲小路彰、小島威彦らのスメラ学塾とはどのような関係にあったのか、実は明確ではない。 しかし、その一端をうかがわせる記述が、後藤象二郎の孫、川添紫郎=川添浩史がオー…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その5)

3 知的戦士養成機関スメラ学塾(承前) スメラ学塾については、次のようなことが判明した(原文のカタカナをひらがなに改めた)。 スメラ学塾所在地 京橋区銀座西5の5(世界創造社も同じ所在地) 創立 昭和15年5月 性格 参謀本部高島[ママ]大佐、文部省国…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その4)

3 知的戦士養成機関スメラ学塾 昭和12年9月25日の内閣情報部の設置とともに情報官となった陸軍の高嶋辰彦は、14年3月、陸軍大佐として参謀本部戦史、総力戦研究課長となった後、スメラ学塾の講師や皇戦会の常務理事も務めた人物である(情報官は昭…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その3)

2 川添紫郎=川添浩史とは それぞれの団体、個人のどれもがとても興味深い。 たとえば、カールフリート・デュルクハイム伯爵は、ナチスのイデオローグ、アルフレート・ローゼンベルクが日本に送り込んだ人物であるし、堀一郎は柳田國男の三女三千の夫である…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その2)

「スメルクラブ」・・・この方が戦前の言葉らしくて、もしかしたらこちらが正式名称かもしれないが、とりあえず「クラブシュメール」としておこう。 三浦環まででてきた。さて、この調子で引用を繰り返すと、膨大な量になりかねないので、各種文献から判明し…

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その1)

1 坂倉準三から始まるクラブシュメールの謎解きの旅 前川國男、吉村順三とともに国際文化会館の共同設計者である、坂倉準三の年譜に不思議な記述がある。 昭和15年 クラブ・シュメール(仲小路彰 小島威彦 深尾重光 川添史[ママ]郎 原智恵子 井上清一 ハー…