神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その3)


2 川添紫郎=川添浩史とは


それぞれの団体、個人のどれもがとても興味深い。
たとえば、カールフリート・デュルクハイム伯爵は、ナチスのイデオローグ、アルフレート・ローゼンベルクが日本に送り込んだ人物であるし、堀一郎柳田國男の三女三千の夫である。
しかし、全てを紹介するわけにもいかないので、幾つかの人物・団体を紹介しよう。


原智恵子の夫、川添紫郎という人物はご存知だろうか。
私も知らなかったが、キャパの『ちょっとピンぼけ』の訳者川添浩史と同一人物である。共訳者の井上清一もクラブシュメールのメンバー。同書によれば、金のなかった時代のキャパが川添・井上の住む部屋に押しかけたり、カメラを借りたりしたという。また、沢木耕太郎訳『キャパ その青春』(リチャード・ウィーラン著)によれば、毎日新聞のパリ支局で発行していた日本語の刊行物の写真編集者のアルバイトをキャパに紹介したのも彼らである。


それよりも、星新一の『明治の人物誌』の「後藤猛太郎」の章のラストを記憶しているだろうか。
星は、後藤象二郎の孫が、六本木でレストランをしていると聞き、そこなら、昔SF作家仲間でよく利用した店であり、しかもその孫は数年前に亡くなったと知る。そして、もう少し早く知っていれば、「あなたのお父さんに、私の父(星一のこと)がお世話になりました」とあいさつできたのに、と残念がるが、その後藤象二郎の孫こそ、川添紫郎である。