神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

 森鴎外に預けられた亀井貫一郎(その2)


鴎外の妹、小金井喜美子の『森鴎外の系族』(岩波文庫、2001年4月。底本:昭和18年12月大岡山書店)によると、



殿様の御親戚にそれはそれは立派な母子の方がいらっしゃいました。(中略)御主人は御結婚後お子さんが一人出来るとすぐにおなくなりで、十九で未亡人におなりでした。(中略)形見のお姫様を大切に育てておいでになりました。(中略)
お兄さん*1が河田さんへの話が罷んだと知れたものですから、今度はそこで貰いたいようなご様子も見えましたが、もうそんなお話はこりごりしたとお断りになったのでした。後に御同族から御養子が見えて、陸軍へお勤めになりましたが程無くおやめ、幾分投機がかった事を好まれた上、世の移り変りで大分御難儀の時もあったようでしたが、大勢あるお孫様の御長男の貫一郎さんが大層よいお出来で、今は社会大衆党の代議士になっていられます。全くそのお祖母あ様の御教育がよかったためでしょう。


森茉莉の語る亀井とは別人のようなほめられようである。

*1:森篤次郎