神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

朝倉無声

トンデモバスター島田春雄の父翰への思い

三村竹清の日記に、 大正13年5月24日 朝 塩煎餅をもちて内田魯庵へゆく 松崎天民之たむさくてもうれる話 朝倉無声の本をきりとる癖と同しもの 西洋ニ多き話 島田翰 漢土之大家之書物を私したる事を列記して 自分を弁護せし漢文遺書を或判事ニ出して 自縊せし…

朝倉無声と藤沢衛彦

坪内逍遥の日記*1によると、 大正15年10月23日 浅[ママ]倉無声、見世物写本藤沢へ民事の件 11月11日 藤沢衛彦来、「諸方見聞図会」を朝倉へ貸すこと異議なし 但し十二月末まで入用云々 11月13日 朝倉へ藤沢の件いひやる 藤沢衛彦(ふじさわもりひこ)は、『…

帝国図書館員朝倉無声の末路

帝国図書館を「諭旨免職」により追われたと思われる朝倉無声。 彼を帝国図書館長田中稲城に紹介した早稲田大学図書館長市島春城は、その経過を田中から聞いているはずだが、市島の日記によれば、朝倉をめぐる不祥事への言及はない。それどころか、朝倉の退職…

帝国図書館員朝倉無声、出勤に及ばず!

朝倉無声が帝国図書館の朝倉とすれば、朝倉治彦は国会図書館の朝倉と言うべきか。もっとも、前者はほとんど無名に近い人、後者は図書館界でこの人を知らなければモグリと言われるぐらい有名な人(なのだろう)。 さて、その朝倉治彦は、幸田成友との出会いに…

帝国図書館員朝倉無声の図書破壊疑惑(その4)

帝国図書館員朝倉無声に関するよくない噂をまた発見した。林若樹から又聞きの内田魯庵の話。 大正7年12月5日 午後 林君を訪ふ (略) 魯庵又曰 此間 不忍之稀書複製会にて 是非出品物のカタロクを作ろうといふ相談あり 市島は金を十円だすといふ 自分は…

『見世物研究 姉妹篇』を読む

10月4日に言及した帝国図書館員朝倉無声について、不明であった出典*1は書物奉行氏(の友人)の教示(同日の「書物蔵」参照)により解明された。出典が記されていたという、川添裕編『見世物研究 姉妹篇』の「序」(延広真治)を見ると、朝倉が明治44年5月1…

帝国図書館員朝倉無声の図書破壊疑惑(その3)

初代早稲田大学図書館長市島春城の日記(『早稲田大学図書館紀要』)によれば、 明治39年10月31日 朝倉亀三より円光寺活字若干を贈らる。 明治40年9月15日 朝倉亀三より名家書翰二軸を示さる。直ちに購入。 明治40年9月18日 朝倉亀三より馬琴の手柬壱通を贈…

帝国図書館員朝倉無声の図書破壊疑惑(その2)

もちろん、この記述だけでは朝倉の破壊行為の証拠にはならないけどね。 さて、帝国図書館の蔵書の切取り行為について、識者の声を聞いてみよう。 まずは、柳田國男*1から。 日本に唯一つの国立図書館、しかも帝都の大公園と併存する図書館の中にも、駆除し難…

帝国図書館員朝倉無声の図書破壊疑惑

最近、日本人のモラル低下の例として、図書館の本の切取り行為や無断持出し行為が挙げられているという。「書物蔵」参照。 単に図書館員による感覚的なものなのか、データによる裏づけがあるのか、知らないが、昔から図書破壊行為などがあったことは間違いな…

帝国図書館司書としての朝倉無声

朝倉無声 本名亀三。明治10年3月生、昭和2年4月没 早稲田大学で国文学を修めた後、帝国図書館司書となり、近世の文芸・風俗研究を専攻 『見世物研究』(ちくま学芸文庫)の著者「書物蔵」には出てこないので、館界では無名か(こういう判断基準に使うなって…