神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

帝国図書館員朝倉無声の図書破壊疑惑(その2)


もちろん、この記述だけでは朝倉の破壊行為の証拠にはならないけどね。
さて、帝国図書館の蔵書の切取り行為について、識者の声を聞いてみよう。
まずは、柳田國男*1から。


日本に唯一つの国立図書館、しかも帝都の大公園と併存する図書館の中にも、駆除し難い悪者が折々潜入し、珍書を借りて蔵書印を切とつたり、又アート版の一枚を破つて持ち帰つたりする。

森銑三*2は、次のように言っている。


昭和8年11月17日 急に所要ありて帝国図書館へ行く。『日本風土記』四冊を借覧するに、榊原芳野の納めしところにて、実に大田何畝の自筆本なりき。題簽また南畝の自著にかかる。奥書はとて見るに、最後の半丁切取りてあり。何人の所業にや、悪むべし。


昔から、帝国図書館の蔵書は受難の歴史があったのだね。
森の記述は、榊原芳野ネタにもなっているだすね、えへへ。



図書破壊疑惑のある朝倉無声だが、市島春城の日記を読んでいると、もう一つの疑惑が浮かび上がってきた。

*1:「郷土叢書の今昔」(「岩手日報」大正15年9月−10月、『退読書歴』(書物展望社昭和8年7月)、『柳田國男全集』第7巻所収)

*2:『読書日記』(『森銑三著作集』続編第14集所収)