帝国図書館員朝倉無声に関するよくない噂をまた発見した。林若樹から又聞きの内田魯庵の話。
大正7年12月5日
午後 林君を訪ふ
(略)
魯庵又曰 此間 不忍之稀書複製会にて 是非出品物のカタロクを作ろうといふ相談あり 市島は金を十円だすといふ 自分は写真撮影を受合はうぢやないかといふ 無声は解題をかいて上けようといふ事にて 山田清作方へとにかく出品物を預り 無声は二三日通ひて内容を調へたり 平生評判よからぬ男故 山田も同し早稲田文科之同期なれは 充分に注意したる由 さて夫々返上したるに 水谷不倒君より新可笑記七枚不足 織留にも其他にも不足あり かゝる事あるへしと思はぬと 御かし申前に丁数もよく調へ置きぬ 且可笑記は自分製本したる故よく覚えあるが たしかに綴糸が違へりとの事 無声を疑ふより仕方なしとて 山田が尋ねて話したるに こなたより画とも字とも何ともいはぬ先に 無声より 馬鹿々々しい 画ならハとるといふ事もあれ 字の処許りとる奴があるものか などとふに落ちす かたるに落するふしもあれと 結局 知らぬ知らぬにて帰りたる由(略)
林氏か稀書複製会へ関係せさりしは 朝倉無声か関係せる故なるよし こわいからね といふ事なりし 果して然り
(参考)
大正7年11月17日
朝 道了堂より上野不忍池弁天堂上池院にて 稀書複製会の古書陳列あるを見る これは国書刊行会に居たる山田清作ニ仕事を与へるとて 市島謙吉か目論見たる也
出典は、「三村竹清日記」(『演劇研究』第25号、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館、2002年3月)。
朝倉無声の「罪状」については、「書物蔵」10月4日参照。
書物奉行氏よ、わしは、『公私月報』未見につき、書きかけという「朝倉無声の大罪本と国会図書舘」とやらを早く、アップされたし。
追記:今日は、「立石書店」に乾杯!唐突だね、理由はナイショ。
追記:『ユリイカ』1月号は、松本大洋特集。漫画家みたいだが、だれだっけ?という感じ。マンガ喫茶へ行かないと、やはり「バカ」になるか!?