神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

伏字が多すぎて発禁になってしもうた?

一喜一憂させられる事態があったが、再開できることになっただす。

『歴史科学』の編集者桜井武夫の回想が出典のようだが、玉川信明『田村栄太郎』によると、

『歴史科学』の場合には、当局の検閲の前に白揚社の中村と番頭による内閲があって、校了後にはたくさんの伏字の××が増えてしまった。ところがそれでもなお発売禁止は免れず、桜井が編集を担当した最初の「明治維新史特集号」は発禁の槍玉に挙がってしまった。
しかし白揚社主人の発禁対策は手慣れたもので、事前に約半数の直接講読者へ発送をすましてしまっており、普通書店の店頭には内容の一部削除の改訂版を出すなど、ちゃんと手順を決めて巧みに処理していた。
それにしても、発禁を免れるための伏字には苦労が多かった。
「××」があまりに多すぎると、それだけでも発禁の理由になってしまう。そこで「××」の代わりに「・・・・」や「ーーーー」を使ってみたり、白ヌキにしてみたり、要するに「××」のどぎつさを少しでもやわらげて、検閲の眼をごまかそうとした。それでも限度があり、記号や符合をいくらいじってみてもごまかしがきかないから、今度は伏字に代わって文章の文字づらの手直しとなった。

伏字が多すぎると、それが発禁の理由になったというのは、本当の話だろうか。

(参考)書物蔵の「史料批判