神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

四天王寺の古本まつりでみゆきから「青木嵩山堂製本之記」印のある『近世詩文幼学便覧』を発見

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四天王寺秋の大古本まつりも終わり、台風が近づく中、明日からは天神さんの古本まつりである。私は、四天王寺の初日は100円均一コーナーが激混みになることを予想して、みゆき(古本横丁とも言うようだ)の和本300円均一コーナーから廻った。何冊か購入できたが、今日は三尾重定編、幸田思成校訂、松井方景再校『近世詩文幼学便覧』上・下(青木嵩山堂、明治28年6月再版)を紹介。『青木嵩山堂:明治期の総合出版社』(アジア・ユーラシア総合研究所、平成29年9月)の「年次別出版物一覧」に未記載ではないかと買ってみたら、やはり載っていなかった。「青木育志・青木俊造『青木嵩山堂ーー明治期の総合出版社ーー』の「年次別出版物一覧」への補足 - 神保町系オタオタ日記」で挙げた未記載の本と併せて、これで3冊目である。案外、同一覧は記載漏れの本が多いのかもしれない。
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内容は、国会図書館が所蔵する明治10年9月松井方景発行と同一である。奥付も挙げておこう。売捌所の川瀬代助と長嵜次郎は青木著の「嵩山堂関係の売捌所」には記載がない。内容の写真も挙げておくが、どのように使う便覧かさっぱりわからず、宝(?)の持ち腐れである。
元袋は旧蔵者が厚紙に貼ったのか、元々なのか不明だが函状になっている。丸印と角印が押されているが、不鮮明である。そう言えば文庫櫂で袋付きの嵩山堂本を買ってあるのを思いだした。
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幸い無事、井上保申(棋遊)編『囲棋初学全書』(嵩山堂、明治24年7月)が発掘され、写真のとおり、角印は「青木嵩山堂製本之記」とある。「製本之記」印は珍しいようで、「近代書誌・近代画像データベース」で6件、「NIJL 蔵書印データベース」で2件である。ただし、「青木嵩山堂製本之記」印はない。丸印の方はよく分からない。文字の記載はなく、模様だけのようだ。呼び方が分からないので、両データベースに類例があるのかないのかは不明。

青木嵩山堂 (明治期の総合出版社)

青木嵩山堂 (明治期の総合出版社)