
細辻伊兵衛美術館で2025年2月12日まで「ダンス、ダンス、ダンス!踊るテヌグイ展」開催中。この美術館は、手拭いがチケットで、下数㎝の所を半券としてビリッと破り取られ、残りは手拭いとして使えるように持ち帰るユニークさ。私は過去「昭和のモダンガール展」(令和5年)と「京てぬぐいと京うちわ 昭和初期のスポーツ展」(令和6年)に行っている。妖怪展(令和5年)に行かなかったのは痛恨の極みである。展示された手拭いの製作年が明示されていて、記録の管理には感心する。本と違って、手拭いそのものには製作年は記載されないからだ。
さて、美術館を運営する永楽屋細辻伊兵衛商店が戦前講演会を度々開催し、講演集まで刊行していたことは知られていないだろう。私も全然知らなかったが、天神さんの古本まつりで厚生書店から見つけて驚いた。数冊出ていて、そのうち江馬務『木綿と染木綿の史的研究:講演10』(細辻商店、大正11年10月)ともう1冊購入。文庫サイズで、22頁。1冊100円。この講演集は、国会図書館が柴田隆明・水谷徹成『禅林寺事蹟と大曼荼羅について・鹿ヶ谷法然院につきて:講演49』(細辻商店、昭和11年9月)を所蔵しているぐらいか。全部買っておけば良かった…。
本書は、『江馬務著作集別巻』(中央公論社、昭和57年6月)の詳細な年譜にも記載がない。ただし、昭和2年の条に『衣服裏地の沿革』(3月、細辻商店刊)とあって、これも講演集に属すると思われる。更に、江馬が主宰した風俗研究会の機関誌『風俗研究』73号(大正15年6月)掲載の江馬「手拭の歴史」の末尾に「(本編は細辻家の講演集から転載したことを記し同家に謝します)」とあって、『手拭の歴史』という講演集も刊行していたようだ。江馬の講演集は、少なくとも3冊刊行されていたことになる。
『風俗研究』194号(昭和11年7月)の「主幹学窓日記」6月9日の条には、「細辻商店の新案手拭の展覧会[、]エロもグロもあり、由来手拭好の私の心を唆つたものが少なくなかつた」とある。「エロ」と言っても、現在の基準からいうと全然エロではなく美人のソフトな裸体画程度であろう。グロの方は、どんな手拭いだったのか気になるところである。