神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

60歳の黒岩比佐子さんの笑顔

黒岩比佐子さんが2008年5月30日付日経に「60歳から本番」を書いている。

九十歳を超えたいまも現役のジャーナリストとして活動するむのさんに、「六十歳からが人生の本番。人間は六十年間苦労して、やっと物事がわかるようになる」と言われると勇気が湧く。むのさんに負けずに貪欲な知識欲を持ち、書き続けていきたいと思っている。

黒岩さんとむの氏は、1997年秋ある機関誌のインタビューの仕事*1で初対面となり、その後文通することとなったという。「古書の森日記」にあがっているむの氏の弔辞によると、手紙が138通手元にあるという。

また、「十一年前の出会い」『彷書月刊』2008年12月号もむの氏に関する話だが、次のようなことも書いている。

私はこれまで、尊敬する先輩から教えを受けることしか考えていなかった。もちろん、それは自分があまりに未熟だからでもある。もちろん、それは自分があまりに未熟だからでもある。だが、それだけではなく、これからは同じ道を志す若い人たちに、私が先輩から学んだことを、伝えていくことも考えなければならない。「生きる」とは、そうやって次の世代にバトンを渡していくことでもある−−。

46歳の夏目雅子に会いたいとは特に思わなかったが、60歳の黒岩さんの笑顔とその円熟した作品は見たかったし、後継者も育ててほしかった。
彷書月刊』の編集長田村治芳氏も亡くなられたという。天国で黒岩さんと古本話をしているだろうか。ご冥福をお祈りします。

*1:書物蔵氏による書誌補遺でも拾われていない。