序文
第一章 西洋とだけ比較されてきたという問題
−ー『「甘え」の構造』『ものぐさ精神分析』など
日本文化論のベースにあるもの
大流行した『「甘え」の構造』は夏目漱石論
インチキ文化論の大本はヘーゲルにある
要注意人物フロイトと岸田秀の『ものぐさ精神分析』
「本当に日本だけか」という視点が欠けている
再び、岸田秀のこじつけ日本人論を探る
河合隼雄の「母性社会日本」の欠陥
学問的ではないユング心理学
インチキ文化論は「比較」すら忘れる
「昔は良かった」式の論はタチが悪い
第二章 「本質」とか「法則性」の胡散臭さについて
−−それはヘーゲルの『歴史哲学』から始まった
文化の本質などという“ないもの探し”をするな
歴史に法則性を見出したヘーゲルの罪
意味のない歴史区分を盛んに論争する学界
“学問的であること”と“トンデモ”の違い
ヘーゲルの悪影響を受け続ける学者、評論家
ヴェーバーの“なんでも宗教還元主義”も厄介
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は本当に名著か
民俗学と日本文化論
哲学は学問と言えるか
古典を絶対に正しいとする訓詁注釈が文化論をおかしくした
日本近代文学研究は、文藝評論が入り混じる
第三章 日本文化論の“名著”解体
−−『陰翳礼讃』『タテ社会の人間関係』『風土』など
怪しい和辻哲郎文化賞
敗戦と切り離せない日本文化論
谷崎『陰翳礼讃』にある日本人の美意識
『アーロン収容所』に見る西欧幻想
和辻哲郎の『鎖国』は文化論というより歴史書
英語で書かれた『代表的日本人』『武士道』『茶の本』について
「日本語は曖昧で非論理的」説の不思議
文化論論争の天王山『菊と刀』を再考する
第四章 「恋愛輸入品説」との長き闘い
−−『「色」と「愛」の比較文化史』批判
「近代以前、日本に恋愛はなかった」という都市伝説
言葉ができる前から「概念」は存在する
「恋愛は十二世紀フランスで発明された」の嘘
恋愛十二世紀起源説の真相
「天皇制」という言葉から考える
柄谷『日本近代文学の起源』は魔の本
トフラー『第三の波』の感動の構造
谷崎の「恋愛輸入品説修正」の思考をたどる
ダイジェスト『日本売春史』
ある階層だけを「日本人全体」と見なすことについて
恋愛に関しては近世のほうが例外的
日本文化は「猥褻」か
逍遙も透谷も「近世文化は猥褻」と騒いだ
日本と西洋の恋愛観の違い
女人蔑視の思想と崇拝の思想
近代は恋愛至上主義
複雑な変遷をたどる恋愛思想史
第五章 「日本人は裸体に鈍感」論との闘い
−−『逝きし世の面影』批判
「日本人は裸体を気にしない」説の出現
日本の風俗の誤解
裸体と日本人
第六章 天皇制とラフカディオ・ハーン
−−日本文化論の背景を探る
文化相対主義の落とし穴
日本文化論の根本にある天皇制
ラフカディオ・ハーンという厄介な人物
ハーンのブームは日本文化論の流行と重なる
愛国心と天皇崇拝と日本文化
膨大なハーンの研究書
日本を論じたハーンとチェンバレン
ハーンは大作家か
終章 結論を求める心理
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原武史編『「知」の現場から---明治学院大学国際学部付属研究所公開セミナー2』(河出書房新社)。原と坪内祐三の対談などあり。