大塚英志『大東亜共栄圏のクールジャパン:「協働」する文化工作』(集英社、令和4年3月)にスメラ学塾が出てくる。「第四章 大東亜共栄圏とユビキタス的情報空間ーーアニメ『桃太郎 海の神兵』と柳田國男」の「四 スメル文化圏と南方言説」である。
(略)「スメラ学」を提唱したグループは小島威彦(国民精神文化研究所)・仲小路彰を中心に「スメラ学塾」を名乗り、女優・原節子の義兄・熊谷久虎*1らが参加した。一九四二年には同様の主張をする「アジア復興レオナルド・ダ・ヴィンチ展覧会」*2(図16)なるイベントが開催される。(略)
大塚氏もスメラ学塾に着目しましたか。最近では、小池百合子都知事の父親がスメラ学塾の塾員だったと話題になりましたね。ただ、大塚氏は「これ以上、深入りしない」とし、関連組織「戦争文化研究所」*3の「日本学」や戦後に連なる川添浩史(レストランキャンティのオーナー)*4らの人脈は重要かつ興味深いが「これも今のぼくの手に余る」としている。しかし、「今の」とあるので、今後調査・研究する可能性はありそうだ。
『文化資源学』4号(文化資源学会、平成17年)掲載の森田朋子論文*5やそれに続く拙ブログ、更には『造形学研究所所報』7号・8号(愛知産業大学造形学研究所、平成23年・24年)掲載の竹内孝治・小川英明論文*6以来、スメラ学塾関係の論文や記事が増えてきた。最近話題の国会デジコレの全文検索を使うと、未知の文献も多数見つかる。そろそろ本格的な著書が出てくるかな。
*1:「石井妙子『原節子の真実』(新潮社)への補足ーースメラ学塾は昭和19年2月23日に解散ーー - 神保町系オタオタ日記」参照
*2:「昭和17年アジア復興レオナルド・ダ・ヴィンチ展を観た人達ーー高良とみの長女や『情報と謀略』の春日井邦夫氏も観ていたーー - 神保町系オタオタ日記」参照
*3:「トンデモだった戦争文化研究所と『戦争文化』 - 神保町系オタオタ日記」参照
*4:「情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎(その6) - 神保町系オタオタ日記」参照
*5:「スメラ学塾をめぐる知識人達の軌跡:太平洋戦争期における思想統制と極右思想団体」
*6:「戦時期における哲学者・小島威彦の著作および出版活動とスメラ学塾ーー坂倉準三とその協働者・小島威彦の日本世界主義思想に関する研究(その1)~(その3)」