神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

明治24年京都婦人協会における島地黙雷の演説ーー村上護『島地黙雷伝』(ミネルヴァ書房)への補足ーー

村上護『島地黙雷伝:剣を帯した異端の聖(ミネルヴァ書房、平成23年4月)の年表明治24年9月の条に「近畿各地を巡る」とある。しかし、『東洋新報附録』200号(東洋新報社、明治24年8月11日)の「宗教彙報」欄に次のようにある。 ●島地黙雷師の演説 東京聯合京都婦人…

荻須高徳の挿絵が入った木村捨録『壮年的』(あかね書房)のサイン本

今年も天神さんの古本まつり(10月15日~19日)が近づいてきました。ということで、何年か前に100円均一台に歌集がまとまって出た時に買った木村捨録『壮年的:歌集』(あかね書房、昭和27年7月)を紹介。石原深予先生から御恵投いただいた『論潮』14号(論潮の会…

昭和4年来日した大英博物館のローレンス・ビニヨンの英国水彩画展ーー高橋箒庵『萬象録』巻9(思文閣出版)と展覧会目録から見るーー

昭和4年に来日した大英博物館東洋版画・線画支部長ローレンス・ビニヨンについては、「昭和4年名古屋の富田重慶邸を訪問していた大英博物館のローレンス・ビニヨン - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。5月にめでたく完結した高橋箒庵『萬象録』…

大正10年画家今関啓司が観た山本鼎の第2回農民美術品即売会とロシア未来派展

『画家今関啓司の日記:1918~1946』(求龍堂、平成3年10月)は1度読んでいるが、所要で再度読んだら色々発見があった。まずは、星製薬で開催された戦争ポスター展である。 (大正十年) 六月二十二日 (略)星製薬七階に戦争ポスター見に行く。後藤市長講演真[マ…

夏目漱石夫人鏡子が通った峰岸米造邸における静坐会のその後

「平安神宮の古本まつりで東寺済世病院長小林参三郎夫人の小林信子宛絵葉書を掘り出すーー『静坐』(静坐社)の総目次を期待ーー - 神保町系オタオタ日記」などで言及した『静坐』(静坐社)の裏表紙には、日本各地(台湾・朝鮮を含む)・満洲で開催された静坐会が掲…

『東洋新報附録』(菅了法社主)の「宗教彙報」欄でオルコット再来日に注目ーー佐藤哲朗『大アジア思想活劇』(サンガ)への補足ーー

緊急事態宣言下ではあるが、大阪古書会館のたにまち月いち古書即売会へ。ホールには新たに検温器が設置されていた。あまり買えなかったが、唯書房に見慣れぬ新聞があった。東洋新報社の『東洋新報附録』192号、明治24年8月1日~252号、明治24年10月11日のう…

高橋箒庵『萬象録』(思文閣出版)の完結を祝してーー巻9の解題(政治・社会・思想)に中野目徹先生ーー

今年5月に高橋箒庵(高橋義雄)の『萬象録』巻9(思文閣出版)が刊行され、完結した。関係者の皆様、お疲れ様でした。拙ブログ 高橋箒庵が見た閨秀画家野口小蘋と小蘋挿画『画法自在』(博文館) - 神保町系オタオタ日記」で「巻8刊行後20年以上経つが巻9が未だ刊行…

著書を理由として公職追放になった稀有な女性鳥井敦子ーー『皇道精神の真髄』(惟神皇道同志会)の著者鳥井敦子とは?ーー

戦後公職追放になった数少ない女性のうち「著書」を理由した者は、2名である*1。1人は石原莞爾の研究者なら御存知の『東亜聯盟と昭和の民』(東亜聯盟協会、昭和15年8月)の著者小泉菊枝(のち白土菊枝)である。もう1人が、鳥井敦子という謎の女性である。『公職…

二人の「問題の女」、本荘幽蘭と下山京子に関する本ーー平山亜佐子『問題の女:本荘幽蘭伝』(平凡社)と松尾理也『大阪時事新報の研究』(創元社)ーー

松尾理也『大阪時事新報の研究:「関西ジャーナリズム」と福澤精神』(創元社、令和3年7月)が、刊行された。同書第2章「夕刊発行と時間軸の拡大ーー化け込み記者・下山京子」は、初期の婦人記者で明治39年大阪時事新報社に入社し、身分を隠した潜入ルポで評判にな…

公職追放に関する研究の進展を期待してーー公職追放になった女性の数すら不明な現状ーー

あらためてトム・リバーフィールド「『公職追放に関する覚書該当者名簿』のメディア関係者・文化人五十音順索引」『二級河川』17号(金腐川宴游会、平成29年4月)を読んでみた。女性としては、市川房枝が「言論報国会理事」、吉岡彌生が「大日本青少年団大日本婦人…

荷風を盗んだ猪場毅が編集発行した『南紀藝術』(南紀藝術社)と無名の画家太田良平

8月12日下鴨納涼古本まつり2日目、雨の中シルヴァン書房のテントへ。絵葉書の箱は並べられずに積まれた状態だったので、最近チェックしてなかったビニール袋に入った紙ものを見る。そうすると、南紀藝術社が「無名の青年画家太田良平」の「プロ風俗画展」を開催…