神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

公職追放に関する研究の進展を期待してーー公職追放になった女性の数すら不明な現状ーー

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 あらためてトム・リバーフィールド「『公職追放に関する覚書該当者名簿』のメディア関係者・文化人五十音順索引」『二級河川』17号(金腐川宴游会、平成29年4月)を読んでみた。女性としては、市川房枝が「言論報国会理事」、吉岡彌生が「大日本青少年団大日本婦人会顧問」を理由として公職追放になっている。その他、女性としては小泉菊枝(著書)や竹内富子(三笠書房店主)などが挙がっている。小泉は、『満洲人の少女』(月刊満洲社、昭和13年12月)、『東亜聯盟と昭和の民』(東亜聯盟協会、昭和15年8月)や『日蓮上人の教義とはどんなものか』(精華会、昭和16年2月)の著者である。
 書名を忘れたが最近読んだ満洲文学関係の本には、市川と白土菊枝(旧姓小泉)の2人だけが公職追放になった女性とあった。誤りである。上記のメディア関係者の他にも、例えば山内禎子(大日本婦人会会長)や竹内茂代(大日本婦人会理事)が公職追放である。グーグルブックスで検索すると、「歴史評論」編集部編『近代日本女性史への証言:山川菊栄市川房枝丸岡秀子・帯刀貞代』(ドメス出版、昭和54年10月)に公職追放になった婦人は4、5人しかなかったとあるようだ。これも誤っている。
 おそらくあの大部な『公職追放に関する覚書該当者名簿』のすべてを読んだ人はいないのだろう。各種全集別巻の人名索引を手当たり次第に読んじゃうわしでも、リバーフィールド氏と同様に名簿の該当事項に限り2回目を通しただけである。いつかは人名の部分を全部読まねばとは思っているが、中々大変である。研究者の皆様には是非データベース化して、女性の該当者数を含め、様々な分析をしていただきたいものである。
 余談だが、下鴨納涼古本まつりの目録に玉城文庫出品で『大日本婦人会南桑田郡支部資料一括』が出ていた。研究者の手に渡っただろうか。
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参考:「あらためて、その凄さを知ったトム・リバーフィールド編「『公職追放に関する覚書該当者名簿』のメディア関係者・文化人五十音順索引」ーー大日本言論報国会・国際政経学会幹部の公職追放者ーー - 神保町系オタオタ日記