神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『公職追放に関する覚書該当者名簿』から漏れた井上秀日本女子大学校校長


 平安神宮古本まつりでは、色々拾えました。最も驚いたのは、不死鳥BOOKSの200円均一箱から見つけた本。しかし、出し惜しみして今回は汎書店の100円・200円台から拾った非売品の『井上秀伝』(桜楓会出版・編集部、昭和48年4月)の紹介にしよう。初日から出ていて国会図書館などにもあるので迷ったが、最終日にも残っていたので引き取った。
 年譜を見ていて「アレッ」と思ったのは、昭和22年2月「公職追放によりすべての公職を退任」とあることだ。というのも、『公職追放に関する覚書該当者名簿』から女性の追放該当者を抜き出す作業中で、アルファベット「I」の部には、井上の名前が無かったからである。
 日本女子大学校校長だった井上は、昭和16年1月から大日本青少年団副団長に就任している。そして、大日本青少年団は「昭和22年勅令第1号公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令の施行に関する命令」(昭和22年閣令内務省令第1号)別表第1第4号2ハで公職追放の対象となる団体に指定されていて、時期の如何を問わず、その役員は追放該当者となるのである。確かに、井上は公職追放になったはずである。
 『公職追放に関する覚書該当者名簿』から漏れた追放該当者がいることは「「『公職追放に関する覚書該当者名簿』のメディア関係者・文化人五十音順索引」が完成 - 神保町系オタオタ日記」で紹介したが、これで井上も漏れていることが判明した。この名簿だけで公職追放について語ったら、大きな誤りを犯すことになる。研究者の諸君は、気を付けましょう。
参考:「公職追放に関する研究の進展を期待してーー公職追放になった女性の数すら不明な現状ーー - 神保町系オタオタ日記