神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

「『公職追放に関する覚書該当者名簿』のメディア関係者・文化人五十音順索引」が完成

バーフィールド氏に『公職追放に関する覚書該当者名簿』のうち出版人を抜き出して五十音順索引にしてくれたらなあと呼び掛けたら、なんと『二級河川』17号(金腐川宴游会、2017年4月)でやってくれました。しかも、出版関係以外に、新聞、映画、放送関係者や著書(著作者)、陸海軍の文官も含めた述べ1,132人の名簿を作成してくれました。期待を上回る成果であります。私の記憶違いで覚書該当者名簿は軍人・憲兵がほとんどで、一般該当者は少ないと思っていましたが、実際は陸海軍正規将校等が375頁、憲兵が232頁あるのに対し、一般該当者は781頁もある。よくここから拾って索引を作る作業をしていただきました。ありがとうございます。
今回この労作を見ていて改めて覚書該当者名簿の問題点が見えてきたので幾つかメモしておこう。
・物故者を指定していること
バーフィールド氏が戦前に亡くなっている人物等の没年を備考欄に記しているので、参考になる。今泉定助(1944年没)や下瀬雅允(1911年没。下瀬火薬の発明者)などの物故者が指定されている。名簿作成の作業中に亡くなったのならまだしも、戦前に亡くなっている人物を何人も挙げているのは、杜撰というべきか、はたまた該当者数をかさ上げするため意図的に紛れ込ませたものか。
・大雑把な該当事由
該当事由が「著書」単独の者が260人ほどいる*1。「著書」というのも大雑把な該当事由だ*2が、神田孝の「言論」、桜沢千蔵の「演説著書」というのもある。更には三宅正太郎に至っては「G項該当」である。G項の何に該当するかが問題と思うが。
・脱漏があること
公職追放になっているはずなのに名簿に記載がない人物がいる。高山岩男円谷英二である。上村哲也(第一公論社社長)*3もそうだ。
あと索引を見ていて、日野要(国際政経学[会]京都支部副部長)という未知の人物を発見。もう一人驚くべき名前もあるが、別途紹介予定。いやはや、何とも便利な索引を作っていただいたものである。この索引を切っ掛けに出版界や言論・報道関係者の公職追放に関する研究が進むよう祈念しております。

*1:神原信一郎の名前もある!

*2:望月肇については、珍しく「著書アメリカはどう出るか」と書名まで記されている。

*3:上村勝弥(第一公論社副社長編集長)や下村亮一(第一公論社編集長)は記載されている。