神保町系オタオタ日記

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昆野伸幸『近代日本の国体論:〈皇国史観〉再考』(ぺりかん社)への補足ーースメラ学塾第4期は昭和16年開講ーー

 昭和15年に始まったスメラ学塾講座は、少なくとも第5期まで開講された。第4期分までは、『スメラ学塾講座』第1期~第4期(世界創造社)として刊行されている。人気沸騰中(?)で、「日本の古本屋」出品分は、すべて売り切れである。開講期間、開催場所、参加人数は、

スメラ学塾講座
第1期 昭和15年6月17日~7月16日 日本橋白木屋講堂 700余名
第2期 昭和15年10月14日~11月26日 神田一ツ橋共立講堂 2000余名
第3期 昭和16年1月20日~2月20日 同上 同上
第4期 昭和16年4月28日~5月25日 同上 同上
第5期 昭和16年11月11日~12月3日 同上 約850名

 第1期から第4期までは、『スメラ学塾講座』第4期(世界創造社、昭和17年9月)の「塾誌」による。ただし、「塾誌」では第4期について昭和17年と誤植になっている。第5期は、『特高月報』昭和16年11月分及び12月分の「運動日誌」による。
 スメラ学塾については、昆野伸幸先生が『近代日本の国体論〈皇国史観〉再考』(ぺりかん社、平成20年1月)の231~233頁で、西田直二郎門下で国民精神文化研究所所員だった吉田三郎との関係で言及されている。そこでは第1期から第4期のスメラ学塾講座の開催期間は「塾誌」からそのまま引用し、「その後も継続したようである」としている。言及されていない第5期は、上記の通りである。このことは、既に「情報官鈴木庫三とクラブシュメールの謎 - 神保町系オタオタ日記」で指摘したところである。
 ところで、その時はうっかりして第4期の開催年が昭和17年ではなく、昭和16年であることに気付かなかった。今回読んだ春日井邦夫氏の『情報と謀略』上巻(国書刊行会平成26年9月)が誤植だろうと指摘しておられて、判明した。その部分の初出は、『ざっくばらん』平成11年11月号(並木書房)である。そんな昔に、言及されていたとは驚きますね。第5回が昭和16年開催なので、間違いなく誤植である。これは、『スメラ学塾講座』第4期所収の小島威彦「開講に当りて」で、第3期について「今年の冬」と記述していることからも判る。本全体を読まないといけないですね。
追記:昆野著は令和元年10月に増補改訂版が出ているが、言及した部分の変更はない。
参考:「『国史研究室通信』26号(終刊号?)(京都帝国大学文学部国史研究室、昭和17年2月)に吉田三郎が - 神保町系オタオタ日記