神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

小村雪岱が初めて挿絵を描いた『をとめ』創刊号(千章館、大正5年1月)をゲット

今日も今日とて古本市へということで、2月8日京都古書会館の古本まつり初日に行ってきた。するとキクオ書店出品、1500円で『をとめ』(千章館、大正5年1月)を発見。絵葉書欠で全体的に状態は悪い。目次を見ると、江見水蔭「壮絶快絶/女子冒険 龍女虎女」が載っていたので購入。ちょうど東京から江見とかも好きそうな某氏が来てたのでお見せした。帰って調べてみると、むしろ小村雪岱のコレクターに重要な雑誌のようだ。表紙絵が雪岱で、長田幹彦「春の波」の挿絵も雪岱らしい。後者は、真田幸治『小村雪岱挿絵集』(幻戯書房、平成30年10月)によると確認できる限り雪岱初の挿絵だという。また、同号には千章館による新年の挨拶が載っている。

謹んで新年の御祝辞申上候
千章館
館主 堀尾成章
主筆 小林富三
社員(いろは順) 
   原田煕
   本多直次郎
   堀尾貞
   岡蕃
   大津つね子
   棚原宇謝
   安並泰助
   新井君之助
   道部順

この安並泰助が雪岱の本名であることは真田氏が「小村雪岱の知られざる雑誌表紙絵(10)をとめ(千章館)」『日本古書通信』平成30年6月号で指摘している。また、次号予告も面白い。長田「春の波」・江見「龍女虎女」・田村俊子「茂子の行末」・小林花眠「小鳩のやうに」・柳川春葉「綿帽子」・大津つね子「すがた」の続篇、泉鏡花後藤末雄小山内薫・佐々木信綱の小説、内藤千代子「女学生側面史」、森律子「生活日誌」、表紙は雪岱、口絵は清方、絵葉書は輝方、蕉園の合作、巻頭実写小説は「火中の白蓮」の予定。創刊号は明治新聞雑誌文庫香川大学図書館神原文庫*1が所蔵、『小村雪岱展:昭和のグラフィックデザイン』(ニューオータニ美術館、平成24年10月)には創刊号から1巻3号までの表紙絵(個人蔵)が掲載されている。となると、確認されている2号、3号より発行されていない可能性が高いが、4号を見つけてみたいものである。
追記:菊陽町図書館のホームページの「明治~昭和少女雑誌のご紹介」で『をとめ』の推定刊行数を4としている。

小村雪岱挿絵集

小村雪岱挿絵集