神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

大正期に『江原小弥太個人雑誌』と『橋富光雄個人雑誌』の表紙を描いたマヴォイスト牧寿雄

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 文庫櫂から『江原小弥太個人雑誌』15号(大正15年4月)を入手。マヴォイスト牧寿雄が表紙を描いた創刊号(大正14年2月)は、「大正12年装幀家としてデビューしていたマヴォイスト牧寿雄ーー五十殿利治「関西『マヴォ』について:牧寿雄と『マヴォ』関西支部」への補足ーー - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。今回入手した号も、サインはないものの牧による可能性がある。というのも、白抜き文字の部分にそれらしいメッセージが隠されているからである。「MAVO」、「構成」「牧 雄」。文字を組み合わせると、マヴォイストの「牧寿雄」が浮かんでくる。そのほか、「江 小弥太」という組み合わせもある。
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 また、「日本の古本屋」の出品情報によると、12号(大正15年1月)の表紙は同じくマヴォイストの村山知義である。マヴォイストではないが、国会図書館デジコレで見られる10号(大正14年11月)の表紙は、岡本一平による江原の似顔絵である。『江原小弥太個人雑誌』は、注目すべき雑誌ですね。
 更に、牧はもう一つの個人雑誌の表紙も描いていた。「日本の古本屋」の出品情報によると、石神井書林が『橋富光雄個人雑誌』創刊号(大正12年12月)と4年9号(大正15年9月)を出していて、後者の表紙は牧の装丁としている。アジャンタ社という大阪の出版社の発行である。牧は、他にもアジャンタ社発行の本の装丁をしている可能性があるので、この出版社も要注意である。