神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

明治24年神保町に移転した高岡書店(現・コミック高岡)が3月末に閉店

神保町のコミック高岡が3月末に閉店とのこと。「まんたんウェブ」によれば、今はコミック専門店だが、高岡書店として明治20年代後半に開店し、100年以上の歴史を有するという。『出版文化人名辞典』4巻として復刻された後藤金寿編『全国書籍商総覧』(新聞之新聞社、昭和10年)を見ると、高岡本店の高岡安太郎として立項されていた。要約すると、

高岡本店 高岡安太郎[住所]神田区神保町1丁目5
元治元年11月 大垣市
明治10年 東京に出て書籍商を営む親戚の許で数年の修行
明治18年 麹町区三番町に高岡書店を創業。当初は古本商だったが英語に関する出版を始め予想外の成功を収める。
明治24年 現在地に移転。新刊書籍雑誌を販売するほか、理科及び数学等の参考書の出版を開始。
明治34年 この頃より出版に全力を傾倒し飛躍的発展をとげる。
明治35年 推薦されて東京書籍商組合評議員に就任し、その職にあること三十有五年に及ぶ。

明治18年という創業年には異説もあって、同辞典3巻で復刻された『現代出版業大鑑』(現代出版業大鑑刊行会、昭和10年)では明治13年とある。店名は『全国書籍商名簿』(東京書籍商組合事務所、明治40年)に「高岡書店」とあるので、「高岡本店」ではなく「高岡書店」が正しいようだ。国会図書館サーチで高岡書店を検索すると、明治22年に英語の読本を、明治33年以降化学・数学・物理学などの本を発行している。
まとめると、高岡書店は明治10年代に創業、明治24年に神保町に移転し、新刊書の販売や参考書の出版をしていたことになる。神保町に移転した明治24年から数えても128年の歴史を有する老舗の閉店である。