神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

今日泊亜蘭と辻まこと

『歴程』詩人としてのSF作家今日泊亜蘭」で言及した草野心平の日記昭和37年9月25日の条に出てくる「今日泊亜蘭の会」は、やはり『光の塔』の出版記念会だった。辻まこと「光の塔の作者」『歴程』昭和38年3月によると、

去る九月二十五日に日比谷の山水楼で“光の塔”刈り得ざる種−−と題する長編SF作品の出版記念会があった。作者は今日泊亜蘭。とはわが歴程同人宇良島多浪のことである。(略)
彼が上智大学へ行っていて、ボクが中学生のころ、林芙美子の一番はじめの出版記念会が駒形のうなぎ屋“前川”であった。“蒼馬を見たり”という詩集だった。どういうわけで、彼とボクがそんな場所にいたかは判っきりしないが、なにしろ武林無想庵に二人とも連れられて行ったことは確かだ。

林の処女詩集『蒼馬を見たり』(南宋書院)は昭和4年6月刊行で、出版記念会は同年7月7日開催。同書の序文は、まことの父辻潤が書いた。

(参考)ネット上の「日本全集SF・総解説」の「「第一回配本『辻まこと全集』」」というのにも「今日泊亜蘭の会」が出ていた。
なお、そこに出てくる「朝の卵」は紀尾泊世央名義で『三田文学』昭和27年9月号に掲載。同名義では、「虜囚の印」『文藝首都』昭和27年4月号、「雪の夜(一幕)」『新劇』昭和32年1月号がある。ついでに言うと、『文藝首都』には紀尾泊園児名義(26年5月号)、園児名義(26年6月)、志摩滄浪名義(26年7月)で文壇時評(文藝時評)を書いている。

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以前報告した「横田順彌『近代日本奇想小説史 明治篇』(ピラールプレス)刊行記念トークイベント(横田順彌氏×長山靖生氏×北原尚彦氏)」(1月22日開催)がピラールプレスのホームページで詳細にアップされていた。→「http://www.pilar-edit.com/shop/user_data/column.php?column_id=103」(全7回)

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坪内祐三編『明治二十九年の大津波 復刻・文藝倶楽部臨時増刊 「海嘯義損小説」』。印税は義捐金に当てるという。猫猫先生にはマネできぬ技なり。

明治二十九年の大津波 復刻・文藝倶楽部臨時増刊 「海嘯義損小説」号

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