神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

戦時下の極楽とんぼ(その9)


岩波文庫の夏の一括重版(7月10日発売)の一冊に里見とん『極楽とんぼ他一篇』がラインナップ。
そこで「戦時下の極楽とんぼ」シリーズの続きを。津村信夫の日記には、里見も出てくる。

昭和17年8月6日 ペンクラブの夏期大学を一寸覗いてみる。(略)里見さんのお話の最中であつた。里見さんなどを見てゐると、あるゆとりのある人間を泌[沁]々と感じる。然し、コセコセしない、ゆつたりした、かう云ふ人柄は追々得難くなるのでなからうか。さう思つて話をきいてゐると氏の話の中にも、ややそれに触れるところがあつた。事の軽重と云ふ題であつた。
吉井勇や里見さん、あゝこれらの人々を思ふ時は何か一種物哀しい気持になる。時代がぐんゝゝと変つてゆくから。
控室で里見さんに一寸挨拶をする。佐藤、村田、中里の諸氏がゐた。林さんがおくれてやつてくる。


最後に名前の出てくる人物は、佐藤信衛、村田良策、中里恒子、林房雄
鎌倉ペンクラブ(正しくは、「鎌倉文化聯盟」か?)では戦時下でも夏期大学を開催していたのだね。

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下川耿史編『性風俗史年表 明治編 1868-1912』(河出書房新社)が出てた。索引を見たら、コックリさんとか、催眠術もあるみたい。