小谷野敦『日本の有名一族:近代エスタブリッシュメントの系図集』(幻冬舎新書)を読む。何やら色々調べていることは知っていたけれど、本書執筆のためだったのだ。「へえ〜」の百連発位のインパクトがあるトリビア満載の書。「おまえ、そんな事も知らなかったのか」と言われるおそれがある(笑)ので、トリビアの具体例は書かないでおこう。
私のブログが本書に貢献したとすれば、坪内祐三氏の母に関する記載、市河彦太郎夫人に関する記載の部分ぐらいで、本書全体の情報量から言えば、0.1%にも満たないであろう。贈呈を受ける資格はなかったと思える。
本書は書評で取り上げられる機会が多いと思われるが、おそらく索引がないことについて不満を述べる人が多いのではなかろうか(「書物奉行氏」も言及していた)。読み物として受け取った私は無くてもいいと思うが、ある人物の閨閥を調べたいような人にとっては、索引を付けて欲しかったという声が出るだろう。ちくま新書に索引を付けて、『谷崎潤一郎伝』や本書に索引を付けないのは、小谷野氏のことだから、何かポリシーがあってのことかしら。
かつて私怨で『もてない男』などを書いた小谷野敦氏。今回は華麗なる一族への嫉妬(笑)から書いたとも言うべきか。そんな氏をつかまえて「あんた」呼ばわりしては失礼だが、最大級の賛辞として次の言葉を贈ろう。
「あんたも好きねえ!」
追記:坪内祐三氏の母泰子については、秋田雨雀の日記に「童話作家」と書かれていて*1、ウィキペディアでもそれを受けてか、そのように書かれているが、本書では「童話を書いていたらしく」に止めている。これは、慎重な記述として正しい態度であろう。今のところ、秋田の日記以外には、これを裏付けるものはないからである。
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『波』10月号で、小谷野氏の『日本売春史』(新潮選書)の書評を見る。執筆は、本郷和人氏。ここまで評価してもらえれば、著者冥利につきるのではなかろうか。小谷野氏は感謝のあまり心の中で泣いているかもしれない。少しホメすぎの嫌いはあるが・・・
*1:2月2日参照