神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

フェルメール《青いターバンの少女》を表紙に載せた照雨荘旧蔵『傅記』昭和23年2月号

 
 『傅記』2巻2号(菁柿堂、昭和23年2月)は、表紙にフェルメール青いターバンの少女》(今は《真珠の耳飾りの少女》と呼ぶのかな)が載っていたので、購入したと思う。蔵書印が押されていて、「照雨荘」とある。

 実は、この蔵書印は読めなかったが、平成28年1月に1巻6号(昭和22年9月)に押された同じ印をTwitterに挙げたら、故蔵書印さんと兵務局さんに御教示いただいた。ありがとうございました。「照雨荘」が同じ読み(「しょううそう」)となる斎藤昌三の「少雨荘」を意識しているとしたら、それなりの人物の蔵書印かもしれない。

 目次を挙げておく。表紙の絵について、今泉篤男が解説「少女」を書いている。この作品そのものには言及しておらず、フェルメールについて19世紀の末頃まで忘れられていた画家で「近頃の研究によってもヴェルメールの作と推定されるものは三十余点にすぎない」と、伝記が不詳の画家として紹介している。近年大人気のフェルメールだが、戦前どの程度紹介されていたのだろうか。本誌のように表紙に《青いターバンの少女》を使った雑誌は存在しただろうか。国会図書館人文総合情報室に「フェルメールの《青いターバンの少女》を表紙に使った戦前の雑誌を知りたい」とか「フェルメールの《青いターバンの少女》を日本で初めて紹介した文献を知りたい」と相談したら、どう回答してくれるだろうか。
 本誌は200円で買ったようだ。200円は安い買い物で、村山知義「時の人・土方與志」が載っているし、カットを担当した4人のうち1人は山名文夫である。また、「私の好きな人物(葉書回答)」の回答者が豪華である。桑原武夫上林暁湯川秀樹津田左右吉秋田雨雀、大久保康雄、佐々木信綱、そして横溝正史!横溝が挙げた私の好きな人物は、今たばこと塩の博物館で特別展を開催中のあの人だ。