神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

土俗趣味社の『百人百趣』ならぬ『百人一趣』を確保ーー『柳田國男全集』の誤りを正すーー

大阪古書会館の古本市で『百人一趣』上・下(土俗趣味社、昭和21年)を発見。謄写版上巻98頁・下巻108頁、非売品100部限定の本で五千円もするが、柳田國男、斎藤昌三、尾崎久弥、九十九黄人、島田筑波、頴原退蔵、田中緑紅、東條操、中山太郎らそうそうたるメ…

ツイン21古本フェアで野原潮風『少女小説忍び泣き』(法令館、大正4年9月)を拾う

ツイン21では21日(土)まで古本フェアを開催中。わしは、100円で珍しそうな上記の本が拾えました。発行所は大阪南区松屋町末吉橋北の法令館、編輯兼発行者は榎本松之助*1。コドモ文庫の一冊で、裏表紙の一覧には23冊の書名があがっていて、探険手帖、怪飛行機…

全集が出るべくして出なかった二人の巨人ーー柳田國男と斎藤昌三ーー

斎藤昌三と三田村鳶魚がどれくらい親しかったかは不明だが、三田村の日記*1には数回出てくる。たとえば、 (大正十二年) 二月九日(金) 崇文堂、斎藤某氏と挈へ来る。(略) 六月八日(金) 崇文堂、八重を一九会へ。◯斎藤昌三氏。 (大正十三年) 一月二十九日(火) …

佐渡民俗研究会の青柳秀夫と三田村鳶魚

『三田村鳶魚全集』25巻-27巻(中央公論社)は日記だが、別巻の索引の対象外とされている。索引があれば、あんな人やこんな人が出てくるのかと色々発見できそうなので、残念である。 私は何度も読んでいるのだが、今回青柳秀夫が登場するのを発見。青柳秀夫(…

大正中期の鰭崎英朋

鏡花本の装幀で知られる鰭崎英朋が三田村鳶魚の日記*1に出てくる。 (大正六年) 八月二十四日(金) 鰭崎英朋氏来る、同伴伊丹鉄弥氏に至る。(略) 九月二十日(木) 出社、鰭崎英朋氏来ル。(略) (大正七年) 四月十六日(火) お客、樋口二葉氏、山中共古翁、鰭崎英…

関西で公職追放になった二人の出版人

戦時中の企業整備による統合後の大雅堂(教育図書が母体)の代表者となった田村敬男だが、戦後公職追放となる。これについて、田村は『荊冠80年』(あすなろ、昭和62年7月)136頁に次のように書いている。 (略)わが大雅堂が、G・H・Qから公職機関に指定され、…

昭和18年における出版社の自主的統合

「「『二級河川』16号の「戦時の企業整備により誕生した出版社一覧(附・被統合出版社名索引)が超便利」」で言及した一条書房(代表者河原四郎。河原書店、臼井書房、スズカケ出版部などが統合)だが、昭和18年1月の企業整備により設立されたという。出版事業の…

井田太郎近畿大学准教授「コレクターと収集品」(大阪古書組合講演会)への補足

12月18日大阪古書会館で開催された井田太郎近畿大学准教授の講演会「コレクターと収集品ーー紀文書簡から稀書複製会叢書までーー」を聴いてきました。江戸会、同方会、集古会から稀書複製会に至るコレクター群像の流れ、ネットワークの広がりは山口昌男『内…