神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

カード・インデックスで在庫管理をしていた?大阪の古書店アジア書房


 これも、難波神社のヒマガミで入手。『経済と社会』(アジア書房、昭和7年10月)。戦前の古書目録というだけで買っていたら切りが無いので、面白そうな寄稿が載っているものに限定して購入するようになってきた。今回は、「東亜同文書院教授植田捷雄宛絵葉書 - 神保町系オタオタ日記」で言及した植田捷雄が「支那の政治外交に関する文献資料に就て(五)」を書いていたので買ってみた。ナンブ寛永出品、500円。

 奥付によれば、アジア書房は大阪市北区桜橋交叉点東に所在し、2千部発行。しかし、あまり残っていないようで、『日本古書目録大年表:千代田区千代田図書館所蔵古書販売目録コレクション』(金沢文圃閣平成27年1月)には、『文献目録』2号、昭和10年11月と同4号、昭和11年5月のみ挙がっている。タイトルを『経済と社会』から『文献目録』に変更している。また、『大阪個人古書目録年表:自明治二十三年至昭和五十年』(大阪府古書籍商業協同組合、昭和58年7月)*1では、『外国古書販売目録』、昭和7年月不明と『経済と社会』15号、昭和8年5月が挙がっている。「日本の古本屋」には、『支那昭和6年10月号や『文献目録』などが出品されている。
 さて、実は植田の寄稿よりも写真を挙げた店の写真の方が興味深かった。向かって右側が洋書の棚、左側が和書の棚である。中央にあるのが、カード・インデックス・ボックスである。カードで倉庫に置いてある古書の管理をしていたのだろうか。
追記:金沢文圃閣が「日本の古本屋」に『経済と社会』(うきよ堂→アジア書房→倉橋一夫書社)2号~14号、16号~20号(昭和3年7月~10年11月)を出品している。

*1:大正13年7月に創立された大阪府古書籍商業協同組合創立六十周年記念に発行された。来年が創立百周年である。『文献継承』41号(金沢文圃閣、令和5年2月)の「受贈書誌」に坂本卓也「『組合百年史』の編纂に向かって」掲載の『大阪古書月報』令和5年1月号が出ているので、『大阪府古書籍商業協同組合百年史』の作成が進められているようだ。