神保町系オタオタ日記

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来年大阪歴史博物館で特集展示「泉布観ー大阪最古の洋風建築ー」開催


 『明治天皇記念館泉布観記録』(大阪市役所教育部、昭和10年11月)が出てきた。これもどこで買ったことやら。国会図書館にはない。写真10頁と本文28頁の冊子。本文13頁には、泉布観は明治3(1870)年造幣局創設に際し応接所として建設されたとある。しかし明治4年が正しいようだ。明治5年6月明治天皇西巡の際に行在所に充てられ「泉布観」の称を賜ったともある。
 一方、明治天皇記念館の方は「明治天皇記念館建設経過概要」に「昭和十年二月十一日 泉布観内建築場所ニ於テ 明治天皇記念館地鎮祭並ニ起工式ヲ執行ス」とあるものの、完成時期は明記されていない。ネットで読める井上智勝「大阪市明治天皇記念館(大阪市立聖徳館)についてー戦中期大阪博物館史の一断面ー」を見ると、昭和10(1935)年11月3日(明治節)竣工であった。昭和15年に聖徳館と改称され、戦後は桜宮公会堂として利用された。そう言えば、表紙には「昭和十年十一月三日/大阪市」とあるし、発行日は昭和10年11月3日になっている。
 1935年竣工ということで、来年90周年を迎えることになる。これを記念したのかどうか分からないが、隣接する泉布観の方に関する展覧会が来年(令和7年)2月19日~4月14日大阪歴史博物館で特集展示「泉布観ー大阪最古の洋風建築ー」が開催される*1。おそらく、明治天皇記念館についても多少言及されるのであろう。
 なお、『南木芳太郎日記二』(大阪市史料調査会、平成23年12月)に泉布観が出てくる。

(昭和十一年)
十一月二十七日
(略)村山柳子氏来訪との事。早速帰宅して村山氏に逢ひ、来月五日青バスにて大阪市内見物を相談して置く(村山氏桜楓会の礼持参)。(略)
十二月五日
(略)梅田阪急に行くと桜楓会員が待ち合せられてゐた。(略)北浜取引所に行き、それより造幣局及泉布館*2を観て(略)木津川の飛行場にて飛行機を観て(略)住吉神社に参詣し(略)天王寺へ着(略)

 桜楓会は日本女子大学校(現日本女子大学)同窓会で、南木が大阪見物の案内をしたようだ。村山は日本女子大学校寮監だった藤原千代の『満鮮旅行の思出』(武蔵野書院昭和11年8月)56頁に桜楓会大阪支部の会員として出てくる。

*1:大阪歴史博物館のホームページ「ようこそ!大阪歴史博物館へ」の「年間展示予定〈令和6年度〉」による。

*2:翻刻者によるルビ:観