神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

在野の怪物藪田嘉一郎と京都帝国大学教授の西田直二郎


 9月9日京都新聞に没後30年を迎える松本清張の「先生」だった藪田嘉一郎に関する記事。有料配信の「THE KYOTO」の記事「松本清張が仰いだ京都の“怪物”(全5回)」(樺山聡記者。令和2年9月1日公開)の一部をあらためて紹介している*1。「藪田嘉一郎の古書店文林堂書店が参加した書好会の『書好』ーー『書物関係リトルマガジン集ーー中京・京阪神古本屋編ーー』(金沢文圃閣)で復刻ーー - 神保町系オタオタ日記」で紹介した「ウは「京都」のウ」ファイル19「松本清張の「先生」」(『京都新聞』令和元年11月26・27日、12月3・4日朝刊)を再構成したもののようだ。
 これで、ネットで読める入山洋子「〈資料紹介〉西田直二郎日記(3)」『京都大学大学文書館研究紀要』20号に藪田が出ていたことを思い出した。

(昭和四年)
五月十四日 火曜
研究室に行く。浜本浩氏[改造社京都支局長]来る。(略)藪田[嘉一郎]氏、文林堂を初めるとて来る。

[ ]内は翻刻者による注記

 薮田と西田の関係については、前記『京都新聞』の連載第3回(令和元年12月3日朝刊)に、大正14年内藤湖南、西田、喜田貞吉らの碩学に引かれて京都帝国大学の史学科に進んだとあるので、その頃からの知り合いなのだろう。薮田が始めた古書店文林堂については前記拙ブログでも言及したが、京都帝国大学文学部教授だった西田の日記で開店時期が判明した。
参考:藪田らの土俗同好会が創刊した『怒佐布玖呂』については、「土俗雑誌『怒佐布玖呂』(ヌサフクロ)創刊号(土俗同好会、昭和7年4月) - 神保町系オタオタ日記