神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

古書柘榴ノ國で井上女神が創立した神九図之会の10周年記念誌『神九図』(昭和55年)を発掘


 今年も下鴨納涼古本まつりが始まりました。シルヴァン書房が参加しているので、てっきり寸葉さんこと矢原さんが絵葉書を出品していると思いきや、不参加であった。ヲガクズさん(@wogakuzu)の情報によると、「下鴨は卒業」されたらしい。そう言えば、寸葉さんから下鴨の案内状が来てなかった。
 寸葉さんの師匠井上女神が主宰した神九図之会については、「京都で神九図之会を主宰した年賀状コレクター井上女神(井上未喜知)ーー寸葉会の矢原章さんの師匠ーー - 神保町系オタオタ日記」で紹介したことがある。その後、創立10周年記念誌『神九図』(神九図之会、昭和55年8月)を奈良の古書柘榴ノ國で見つけたので、表紙と目次の写真を挙げておく。


 どんな物でも蒐集する人がいるようで、特に妻楊子袋とかピンクカードを集めてどうするのかと思うが、古本や絵葉書もまったく興味の無い人から見たら、同じように思われているかもしれない(^◇^;)
 本書の井上会長「はじめに」によると、

(略)京都では戦後コレクターの集る会が無かった。そんな折、私の蒐集品のうち箸袋を並べての個展を、新京極花月劇場三階で催したところ、駆け付けて呉れた趣友達が、一度集まって快談会(こころ良く語り合うの意)でもやろうじゃないかと衆議一決。
 そして十年前の八月九日第二日曜に集ったが、話は弾み女三人寄ればどころか、男七人で楽しく且つ賑やかな集いとなった。

 7人で始まった神九図之会というコレクターの交換会。昭和55年8月10日現在の会員名簿によると、113人に拡大している*1。関西だけでなく、東京、愛知県などにも及んでいる。また、「神九図之会十年のあゆみ」によれば、昭和53年会員が京都新聞の源流である幻の新聞を発見して京都新聞社から表彰されたようだ。このように京都で一世を風靡した神九図之会のことを今どれだけの人が記憶しているだろうか。
 冒頭の写真で挙げた井上の蔵書票と昭和58年新年総会記念交換会時の食券(?)は、@pieinthesky氏からいただきました。ありがとうございます。また、井上女神が井上未喜知として掲載されているトム・リバーフィールド『昭和前期蒐書家リスト』(令和元年11月)は第2刷が発行され、8月13日のコミケ100の「土曜日東地区”ペ“30a」で販売されるようだ。

*1:この段階では、矢原さんの名前はない。