神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

天神さんの古本まつり100円均一台で新たな明治期教科書の証紙発見

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水害や震災、残りの人生を考えるとこれ以上本を増やしたくないのだが、気が付くと今日も天神さんの古本まつりへ。初日にもあった100円均一台の和本が詰まった段ボール箱をじっくり見た。初日には和本を1冊も買わなかったが、今日はゆっくり見たせいか買いたい和本が幾つかあった。
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そのうち持ってない証紙が貼られた明治期の教科書を1冊購入。木沢成粛編『小学中等読本』巻2(阪上半七、明治15年10月再版)。「観道処章」「明治十五年*1五月発行」と印刷された証紙に「観道処」の消印。
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『明治出版史上の金港堂 社史のない出版社「史」の試み』(皓星社平成31年3月)で稲岡先生が言う偽版防止の類型Ⅲ「蔵版之証などとした証紙(印紙)を貼付した上、消印を施したもの」に当たる。これに属する証紙は、「明治14年教科書『修身児訓』に貼られた検印紙 - 神保町系オタオタ日記」や「明治期教科書の証紙は謎だらけ - 神保町系オタオタ日記」でも紹介したところである。今回新たな証紙をこれに加えることができた。なお、「近代書誌・近代画像データベース」の「近代書誌・近代画像データベース小学中等読本 漢文」で見られる木沢成粛編『小学中等読本漢文』巻3*2(阪上半七、明治14年6月版権免許)の奥付には「観道処之印証」と印刷された私が見つけたのとは別の証紙が見える。
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*1:蔵書印さんの御教示により、「季」ではなく「年」の異体字と判明

*2:巻1及び2の証紙は、剥がされている。