神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

大阪古書会館で武田五一邸や木島櫻谷邸の作庭をした植重(佐野庭園工藝所)のカタログーー庭師佐野榮太郎の世界ーー

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 今月も無事開催された大阪古書会館の「たにまち月いち古書即売会」。18日の初日に行ってきました。シルヴァン書房は19日からの平安神宮の古本まつりにも参加するためか、出品のメインが100円均一の文庫であった。もう文庫・新書は見ないことにしているので、うーむと思った。しかし、棚の上に何やら雑誌・冊子類が置いてある。これが、中々安くいいものであった。
 今回紹介するのは、京都の北野神社鳥居前にあった植重こと佐野庭園工藝所(創業天和2年)のカタログ(植重造園栞)である。奥付がなく、発行年は不明。昭和初期か。30頁ほどの冊子で800円。庭園には興味はないが、最近京都産業大学ギャラリーで「京都の庭を守ったひとたちーー森蘊と法金剛院」を観たところなのでパラパラと中を確認すると、『庭園の設計施工案内』というリーフレットが挟まっていた。「弊所の近年設計施工せし庭園」という表が載っている。
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 「木島櫻谷氏邸」、「武田五一氏邸」、「故富岡鐵齊[ママ]氏邸」や「都路華香氏邸」などが出ている。櫻谷邸は特別公開されていて*1、拙ブログの読者には見学に行った人もいるだろう。残念ながら、私はまだ見ていない。錚々たる人達の作庭をしていることがわかり、買ってみました。表紙のタイトルが読めなかったが、Twitterで「ヲガクズ」氏(@wogakuzu)や「かみとすみ」氏(@kami_to_sumi)の御教示をいただき、「間蓬」かと思われます*2。ありがとうございました。本書は、国会図書館サーチや「日本の古本屋」ではヒットしない。また、佐野については、ググると若干の情報があるも、詳しくは要調査である。
追記:蔵書印さんが復帰されて、早速御教示いただきました。ありがとうございます。「間」ではなく、「聞」(「篆字部首検索システム(テキスト検索版)」参照)、「蓬」ではなく「篴」(笛の異体字。「篆字部首検索システム(テキスト検索版)」参照)。「聞笛」ということになる。
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*1:コロナ禍のため、春の公開は中止された。秋の公開は、「公益財団法人 櫻谷文庫 - 公益財団法人 櫻谷文庫(旧木島櫻谷家住宅)」参照

*2:「蓬」(U+84EC) | 篆書字体データセット」参照