神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

川柳家にして印刷所経営の趣味人石曽根民郎ーー知恩寺の古本まつりで見つけた石曽根民郎『川柳の話』ーー

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 石曽根民郎(いしぞね・たみろう)という人物は前から気になっていた。「阪神百貨店夏の古書ノ市で見つけた板祐生の『杏青帖』 - 神保町系オタオタ日記」では、板祐生孔版蔵書票の会会員。「青田寿美『蔵書印の話』を夢見る頃ーー小谷方明『蔵書印の話』を読んでーー - 神保町系オタオタ日記」では、小谷方明『蔵書印の話』の印刷者として登場する。
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 また、『昭和前期蒐書家リスト 趣味人・在野研究者・学者4500人』にも登場する。
 こうした中、先日の百萬遍知恩寺の古本まつりの初日、キクオ書店の和本1冊200円・3冊500円台で石曽根の『川柳の話』(しなの川柳社、昭和22年9月)を発見。一番に張り付いていた林哲夫氏の後では*1何も残っていないかと思ったが、和本ではないので残しておいてくれたか。目次を挙げておく。
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 平成23年松本市立博物館で開催された特別展の図録『石曽根コレクションの世界ーー95年の生涯を川柳に捧げてーー』(同博物館、平成23年10月)の年譜によると、

明治43年8月 松本市立生
大正11年4月 旧制松本中学校入学(丸山太郎*2の1年後輩)。国語の授業で川柳と出会う。
昭和4年4月 旧制彦根高等商業学校卒業後、松本へ戻る。
昭和5年 この頃、麻生路郎の『川柳雑誌』へ当句し始める。
昭和12年 『川柳しなの』創刊
昭和21年 『蔵書票の話』刊行
平成17年9月21日 死去
同月25日 通巻746号で『川柳しなの』廃刊

 この他、年譜によると生涯居城になったのは、父親が昭和2年創業した石曽根印刷だったという。ところで、年譜を見て気付いたが、石曽根の『蔵書票の話』は昭和21年刊行で、小谷の『蔵書印の話』は翌年刊行。小谷は、石曽根の『蔵書票の話』に刺激を受けて、『蔵書印の話』を発行したのだろう。

*1:私は、福田屋書店から廻った。

*2:明治42年~昭和60年。昭和37年松本民芸館を創館