神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

ジャワの仮面を集めた男達ーージャワの松原晩香と京都の山崎翠紅ーー

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 数年前、四天王寺の古本まつりで古書クロックワークから『写真新聞』2巻5号(写真新聞社、大正13年5月)を入手した。表紙は補修ありで、口絵の一部も欠けていたが、大阪で発行されたグラフ誌で記事も幾つか興味深いものがあって、しかも200円なので購入。奥付によると、編輯兼発行人は高島駒之助で、発行所の写真新聞社は「合資会社関西文芸社経営」とある。明治新聞雑誌文庫が数冊持っているが、本号は無いようだ。
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 幾つか写真を紹介しておこう。4月1日分は、「娼妓が朋輩の追悼会」。深川洲崎遊廓跡で開催された娼妓による関東大震災のため亡くなった同業者の追悼会。
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 4月9日は、「珍品ジヤバ仮面の陳列」。新浅草南洋館で開催された松原晩香所蔵の爪哇(ジャワ)の仮面等の展覧会。松原には、『南方の芝居と音楽』(誠美書閣、昭和18年3月)等の著作がある。「グーグルブックス」によると、大正9年創刊の『爪哇日報』の記者だったようだ。
 国内にもジャワの仮面を集めた人がいた。シルヴァン書房から400円で入手した昭和7年鳥居庫吉(京都市)宛山崎翠紅(京都市)の年賀状に、写真が出ている。山崎には、『南国操り人形と仮面』(山崎翠紅、昭和10年)という著作がある。「田中俊次編輯『鳩笛』6号(ちどりや、大正15年3月) - 神保町系オタオタ日記」で紹介した『鳩笛』6号の「京都の趣味家(下)」に紹介が出てるが、どこかに埋もれているため見られない(´・_・`)
 残念ながら、松原や山崎は『昭和前期蒐書家リスト』(トム・リバーフィールド、令和元年11月)に登場しない。「蒐集家」リストではなく、基本は書物を集めた「蒐書家」リストなので、仮面のような物の蒐集家は必ずしも収録されていない。同書は蒐集分野による検索ができないのが玉に瑕で、ざっと目を通すと、佐藤寿が「天神、こけし、首人形、鳩笛、面」を集めている。もっとも、この「面」は能面なのだろう。