神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

ウィリアム・ジェイムズの弟子小川忠蔵神戸高等商業学校教授

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日本霊学研究所長関昌祐=関書院の関為之祐と判明したが、関の神戸高等商業学校時代の恩師はウィリアム・ジェイムズの弟子だったらしい。『霊光』3年8号(霊光洞本部、大正15年10月)の「神秘の世界への思慕」によれば、

曽て恩師小川忠蔵先生(神戸高商教授)を訪問した時の物語に、先生は其昔在米遊学中、かの大心理学者ウヰリヤム、ゼームス教授に師事されたお方であるが、某時先生は次のやうな質問をせられたそうである。==

小川がジェイムズに訊いたのは、「ジョン・スチュアート・ミルが、自叙伝中で宇宙には統一的な神があるとは思われないが、何かある人格的な神の存在を認めねばならぬような気がすると言ってますが」ということであった。ジェイムズの答えは、

処がゼームス教授の返答がまた実に意外な言葉であつて、先生も大変驚いたと云ふ事である。其返答は「そうですよ、宇宙には判つたと思はれる事柄は何ほどもないのですからネ」とあつた。
私はこの短い物語を聞いてゐた時、頭に浮んだ事は(略)また、かの師、福来博士は「科学者はエーテルを仮定してゐながら、エーテルといふものをさも見て来たかのやうに云つてゐるのが、実に可笑しいではないか」と云つて笑はれた事などであつた。
ゼームス教授は、晩年になつて強い心霊主義者になれたことは人の知る所である。福来博士の事は今更言ふまでもない吾が国の学問的心霊主義の元祖だから。両所共に否み能はざる経験から、乃至学問に対する熟誠から「怪力乱神」を語らざるを得ざるやうになられた方々である。(略)

関が神戸高等商業学校の生徒であったことは、『神戸高等商業学校一覧 自明治三十九年至明治四十年』に本科第一年(予科第二部出身)とあることで、確認できた。ただし、卒業年は確認できなかった。また、小川が同校にいたことは、『神戸高等商業学校一覧 明治四十二年四月至明治四十三年三月』に英語講師とあった。肩書は「バチエラー、オフ、アーツ(オベリン大学)」と「マスター、オフ、アーツ(ハーヴアード大学)」である。同一覧の大正15年版では、教授になっている。ハーバード大学でジェイムズ(明治43年没)に学ぶ機会はあったようだ。ということは、日本霊学研究所長関昌祐はウィリアム・ジェイムズの孫弟子だったと言えるかもしれない(まさか)。
もっとも、小川は関への私信で「敢て不思議を説きません。之れ私の主義です」と書いていたというので、教えたのは英語(とジェイムズの思い出)だけだったのだろう。
追記:「ざっさくプラス」で小川は15件ヒット。「<想苑>神秘派哲学」『新人』8-4,明治40.4が気になる。
参考:「西田天香の『光』(一燈園)に金子白夢や霊光洞の西昌祐 - 神保町系オタオタ日記
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