神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

読めば読むほど味が出る『柏木義円日記』

『真崎甚三郎日記』とか柳田国男の『炭焼日記』は、読み返す度に様々な発見がある。この飯沼二郎・片野真佐子編『柏木義円日記』(行路社、1998年3月)も読みづらい日記だが、再読していると色々面白い発見がある。

(明治四十年)八月十四日(略)「心霊雑誌」来ル、今夜祈祷会、福永氏ト二人ニテ祈ル。

明治時代に「心霊」と名のつく雑誌が出ていたとは、知らなかった。どういう雑誌だろう。

(明治四十三年)九月十六日(略)千里眼御船千鶴子第二回透視実験。九月十五日、午前九時十五分ニ神田淡路町関根屋旅館、福来博士、今村博士、心理時報社長小野福平、三階北東十畳、次八畳、次控室、十余名ノ記者、名刺形白紙ニ「心神通」「青山水」「飛雲殿」「野拾穂」ト書キテ机上ニ伏セ、抽選ニテ小野氏錫製ノ茶壺ニ其中ノ一枚ヲ密封(略)「心神通」三字ヲ千鶴子巻紙ニ書ク、控室ニテ茶ツボヲ開ク、験スルニ符号セリ。

日記の途中から唐突に千里眼実験が出てくる。新聞記事を写したのだろうか。千里眼事件について一般の人がどう見ていたのか関心があるが、柏木の感想は書かれていない。

(明治四十四)二月八日(略)ユーゴー、ケーラス、英傑伝、近史欧州史論ヲ読ム。
五月二十二日(略)ケーラス研究(略)
五月二十三日(略)ケーラス研究(略)
五月二十四日(略)ケーラス研究、心理学研究。
五月二十五日(略)ケーラス霊魂論ヲ研究(略)
五月二十六日(略)ケーラス研究(略)
八月一日(略)東亜ノ光ーー仏陀即基督ヲ読ム。

盛んに出てくる「ケーラス」はポール・ケーラスだろうか。