神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

 中尾弘明と岡田道一


花火大会に行かず(笑)、しこしこと調べた。
戦前学校衛生に関する著作などを有する医師岡田道一は、戦後は心霊治療に関する著作を幾つか刊行している。そのうち『心霊療法』(ひろば書房*1、昭和30年11月)によると、

この療法は昔から手のひら療法(江口俊博氏*2唱道)一元同化力(中尾弘明氏発明)放射能療法(小林磯吉氏講習)手当療法(吉田弘氏実施)など私の知つてるだけでもその位あり、まだゝゝ沢山あろう。


また、

嘗て浜口熊岳という男魔術の如く病気を治し神戸の検事局で実験させたところ、給仕の神経痛の腕が痛んで上にあがらぬのを十字を切つて霊を出し立どころに直したので、直ちに無罪にしたと当時立会つた法学士飛石久太郎氏が私に語つた。またも一つそのお守の字についても偉大な霊能者一元同化力の中尾弘明氏や世界救世教開祖岡田茂吉氏の書いた字が紙にうすし偉大なる力を発して病者恢復に啓発された事実は大自然より生ずる宇宙の力が霊となり偉効を発揮することはあり得るのである。それを宇宙電気の霊と名附けたい。


岡田道一は茂吉の信者だったらしいので、茂吉を持ち上げるのはわかるが、戦後もはや知る人などいないと思われる中尾を褒め称えるのはどういうことだろうか。戦前においてもOPACによると、『長生新道 現代健康宝典』(教文社、昭和4年)の監修をしており、各種健康法に関心があったほか、村井弦斎の死後ではあるが、『婦人世界』にも「林間・臨海学校へ子供を送る家庭の注意」(23巻8号、昭和3年8月)などの執筆をしている。中尾や弦斎と面識があったかは不明であるが、中尾に深い関心を持っていたのであろう。


(参考)「古書の森日記」2005年1月24日分のコメント欄。


追記:『大衆人事録』(昭和17年版)によれば、岡田道一は、医博、医師で、明治22年10月和歌山県延吉郎の子として生まれ、大正6年京都帝国大学医科大学卒。大正11年東京市技師麹町小学校医市学校衛生技師共立女子薬専講師。宗教基督教、趣味文藝義太夫短歌。

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日経に猫猫本の紹介あり。


篤姫」は見ません。新日曜美術館を見てます。
蟹工船』は読みません。『めぞん一刻』を再読してます。
なんか、時代に取り残されている気はする(汗

*1:神田孝一(一昨年2月21日参照)の出版社

*2:昨年2月26日参照