神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

尾崎紅葉に化けた山崎増造


岩波文庫の『明治文学回想集』の索引を見てたら、奇人、山田一郎の名前を発見。早速上巻の市島春城「明治文学初期の追憶」(『早稲田文学大正14年7月)を見る。

この亭のお福という娘が大の紅葉崇拝で、山人の小説といえば、ナンデモ精読している。私の亡友山田一郎というがこの事を知って、或る時ニセ紅葉を連れてこのお福に一杯食わせたことがあった。山田の知る人で静岡県の或る年若の医師が俳句をやる所から思いつき、伴うて中華亭に到り、今日は尾崎紅葉君を同伴したから、短冊でも書いてもらえとお福を喜ばせた。ニセ物と知らないお福はひどく喜んで酒席を斡旋し揮毫を請うたりした。


山田一郎の知り合いの静岡県の医師とは、もしや掛川の医師で催眠術書も書いた山崎増造(3月28日参照)では。市島がお福に問いただしたところによると、本物の紅葉とは似ても似つかない「色の青白い、丈の低い、鼻下に髭のある人」だったという。

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女性用のフンドシ「パンドルショーツ」なるものが話題になっとる。2月25日に言及したが、昔も若い女性がフンドシをしめることはあったらしい。

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文藝春秋からは、8月に池谷伊佐夫『古本蟲がゆく 神保町からチャリング・クロス街まで』も刊行。全国の古本屋や古本市を飛び回っているので、いっとき書物奉行氏の正体みたり!と思ったが、どうも違ったみたい。