谷崎ゆかりの偕楽園に比べると若干歴史は浅いが、日比谷に陶陶亭という中華料理店があった。
文学者などの日記に、よく登場している。例えば、高見順の日記だが、
昭和22年5月17日 日比谷の陶々(ママ)亭へ行く(菅(ママ)野長知氏の経営だったが、今は中華民国人に譲ったという)。山根書店の招待。選集の打合わせ。
「菅野長知」は正しくは萱野長知(かやのながとも,1873-1947)。高知市生まれ。近年アジア主義者の一人として注目されているようだ。陶陶亭は大正8年8月萱野が代表を務める株式会社善隣倶楽部により創業。当初は木造四階建てで、昭和15年鉄筋五階建てに新築。戦後は、社団法人国際善隣倶楽部の経営となり、昭和39年まで存在したという。『萱野長知研究』*1に詳しい。
実は、萱野のことが『高知県人名事典』に書かれているというので、同書を見ていて田内千秋の記述を発見したのでした。
(参考)2008年1月16日
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古本日和で、誰ぞのドッペルゲンガーが出現する悪寒。←出現しなかった。