神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

市河彦太郎と女流作家


外交官だった市河彦太郎については、小谷野敦『日本の有名一族』で、鶴見祐輔の姉の娘かよ子の夫として言及されているので、今後知名度がアップすることだろう。既に紹介したように、市河はスメラ学塾の講師だったし、藤澤親雄谷川徹三大佛次郎らと共に有島武郎の「草の葉会」会員、佐佐木信綱の門人だったほか、古川ロッパ・橘弘一郎とマージャンをする仲でもあったようだ。


市河の名前を見かけたので、紹介しておこう。
芹沢光治良『文学者の運命』(主婦の友社、昭和48年6月)によると、

私の中学校の1年先輩で、その時、外務省の文化情報部[ママ]の課長をしていた市河彦太郎君という外交官がいた。学生時代に有島武郎に私淑して、一高の卒業記念に、「若い芽」というみずみずしい長編小説を自費出版するほど、文学を愛していたが、有島武郎の「草の葉会」に、私を紹介したのも彼だった。将来、外交官を定年で退き、故郷に帰って、大トルストイのように、故郷を愛しながら小説を書くのだと、よく話していたが、或る土曜日−たしか昭和六年の春であったが、私は学士会館に会食に招かれた。


という。芹沢は、その後も会食に誘われ、その席で林芙美子、城夏子、平林たい子に紹介されたという。
敗戦を生き延びた市河だが、昭和21年には亡くなってしまう。もう少し長生きしていてくれれば、回想録を書いたり、若き日の夢であったトルストイのような小説家になっていたかもしれないと思うと、実に残念である。


追記:雨が降ってきた。雨男が接近しつつある悪寒が・・・


谷沢永一『性愛文学』(ロング新書)を見る。谷沢先生も好きねえ(笑
谷沢と坪内祐三の対談は読んだことはあるが、小谷野敦氏と対談したことはあるだろうか。

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ナビオが28日に閉店していたね。ナビオ美術館には時々行ってけれど、同館閉館後はナビオには全然行っていなかったよ。