3 大賀一郎と櫻澤如一をつなぐ蓮
国書刊行会の『少雨荘書物随筆』収録の「湘雨窓漫録」には、
以上が咄嗟に拾ひ出した明治の重版書であるが、落ついて調べたならまだいくらも出て来るかも知れない。村上弦斎の『小猫』や『日の出じま[ママ]』や『食道楽』と云つたものも一時は世評に上つてゐたこともあつた。」
と『食道楽』が登場する。また、この部分の註(川村伸秀作成)として「村井弦斎については、黒岩比佐子による詳しい伝記『『食道楽』の人 村井弦斎』(岩波書店、平成16年6月)がある。」と記されている。
今やその岩波書店から、岩波文庫『食道楽』(上・下)として、手軽に読めるのは有難い。
しかも、上・下共に黒岩さんの解説が付されている上に、「料理法索引」も収録されているすぐれもの。この索引で、例えば蓮を引いてみると、「蓮根(はす)の梅干和」や「蓮根の詰物」の二つがあることがわかる。