神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

明治41年数え17歳の岸本水府が旅先から父親に送った絵葉書

今年2月水の都の古本展でモズブックスの3冊500円コーナーは某氏の旧蔵書を中心に放出されたようで、異常な熱気に包まれる事態となった。そんなモズブックスの絵葉書コーナーには川柳家の岸本水府宛葉書が大量に出ていた。数枚であれば全部買ってもいいのだが…

恩地孝四郎と版画の家の山口久吉

だいぶ前の寸葉会で拾った加藤和三郎宛山口久吉の絵葉書。昭和3年の年賀状で、山口の住所は神戸市中山手通4丁目18ノ2版画の家である。土地勘がないが、兵庫県庁の近く、相楽園の北東側か。山口の版画の家は、恩地孝四郎に詳しい人は御存知だろう。『恩地孝四…

戦時下における京都の青少年の娯楽ーー麻田鷹司の京都市立美術工藝学校時代の日記からーー

京都市立美術工藝学校の生徒だった麻田鷹司の日記については、「京都古書組合のムードメーカーだった若林春和堂の若林正治」で紹介したところである。『麻田鷹司ーー京都市立美術工藝学校時代の日記ーー』(麻田光子、平成12年4月)には、昭和16年4月から19…

洲之内徹と気まぐれな同人仲間

先日紹介した『四国文化』1輯(四国文化社、昭和18年9月)の「感想時評」に出てくる『四国文学』は、戦前洲之内徹が同人だった『記録』を改題したもの*1でした。「感想時評」を引用すると、 光田稔の四国文学はどうなつたのか、その後の音信にふれてゐないので…

『近代大阪』の北尾鐐之助と青塔社の池田遙邨

寸葉会で拾った西宮市北昭和町の北尾鐐之助宛池田遙邨の葉書。 北尾の著書は時々古書展で見かけるが買ったことはない。『日本の写真家』(日外アソシエーツ、平成17年11月)から北尾の経歴を要約すると、 明治17年3月9日名古屋市生 東京高商(現・一橋大学)中退…

『時代を駆ける:吉田得子日記1907-1945』(みずのわ出版)に大本教ネタ

女性の日記から学ぶ会編『時代を駆ける:吉田得子日記1907-1945』(みずのわ出版、2012年6月)は続編の戦後編が刊行された。どちらも装幀は林哲夫氏。とりあえず戦前編の方を読んでみると、宗教関係のネタが。 (大正9年) 6月9日(水)晴 (略)業後早くかへり居た…

米浪庄弌の『こけしだより』を積ん読本から掘り出す

何やら水害の危機が迫りつつあるようなので、一階の居間に積ん読だった本を二階へ避難させた。おかげで、色々埋もれていた本を発見。『こけしだより』2輯(おけしゑん米浪庄弌、昭和14年)は、ツイン21の古本市で「ぶんざい」出品、300円。値札シールに「ぶん…

戦時下の雑誌統廃合が進む中でも創刊された同人雑誌『四国文化』

何やら大雨でブログをアップしてる場合ではないような気もするが、本が使えるうちに書いておこう。 富士正晴・野間宏・桑原静雄により昭和7年10月創刊された同人雑誌『三人』は戦時下の昭和17年6月廃刊された。その経緯は富士の「同人雑誌『三人』について」…

富士正晴らに同人雑誌『三人』の発行を認めた第三高等学校教授平田元吉

第三高等学校教授で志賀直哉の英語の家庭教師だった平田元吉は、富士正晴・野間宏・桑原静雄(竹之内静雄)が発行した同人雑誌『三人』とも縁があった。富士の「同人雑誌『三人』成立」によると、 [昭和七年]五月一日、記念祭のとき、文三乙がやったゲーテ展会…