神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

種字彫刻師君塚樹石と平楽寺書店の井上四郎


 市谷の杜 本と活字館の「活字の種を作った人々」展が6月2日に終了した。印刷博物館には何度も行っているが、本と活字館はまだ行ったことがない。同展では、種字彫刻師の一人として君塚樹石を紹介していたので、観に行きたかった。
 私が君塚を知ったのは、平成29年平楽寺書店の土蔵解体に伴い、君塚の同書店宛書簡がヤフオクに出たというツイートを見た時だと思う。内田明先生がリツイート・引用ツイートしたのが回ってきたと思われる。その年11月の寸葉会で昭和29年7月31日付け君塚の平楽寺書店*1宛葉書を見つけて、大喜びで購入。200円だった。
 文面は、次のような内容である。
・小用に追われ手紙を出さず、恐縮している
・早速送付する。急ぎの事はよく承知しているが、台木に手間取り申し訳なく思う
・自分は種字ばかりしているため弟子にやらせたので諒承されたい
 このほか、「本納寺の兜木様」にも言及しているので、兜木正亨『法華経日蓮聖人』(平楽寺書店、昭和31年12月)と関係があるのだろうか。同書の印刷所は、京都の文功社である。ヤフオクに出た書簡と付き合わせれば詳細が分かるか。誰が持っているのだろう。
参考:他に入手した平楽寺書店宛書簡・葉書は、「平楽寺書店の井上四郎に倭点法華経を売った反町茂雄 - 神保町系オタオタ日記」(ここにも兜木が出てくる)、「平楽寺書店の井上四郎宛家永三郎書簡ーー『日本仏教思想の展開』監修者としての家永三郎ーー - 神保町系オタオタ日記」参照

*1:君塚は「平楽寺書房」と誤記している。