神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

昭和17年稲垣武雄ら郷土玩具誌『竹とんぼ』同人から中山香橘宛葉書


 今年の「七夕古書大入札会」(明治古典会)の目録は、特にジブリ関係のセル画・原画が話題になったようだ。私自身は、稲垣武雄の旧蔵書や蔵書印(印顆)が気になった。もっとも、そろそろ終活のお年頃(^_^;)なので入札依頼は見送り。
 稲垣の蔵書印は、国文学研究資料館の故青田寿美先生が管理し、現在は人文情報学研究所に移管した「蔵書印データベース検索システムhttps://seal.dhii.jp/sealdb/」にも収録されていない。ところが、先日の阪神百貨店の古書ノ市でモズブックスから入手した「竹とんぼ同人」*1から中山香橘宛葉書(昭和17年8月10日消印)に稲垣の印(冒頭の写真の左上)が押されていた。ヲガクズさんが3回(?)行った後なので、ペンペン草も生えてないと思いきや、それなりの草(?)は残っていたようだ。
 稲垣は、戦前郷土玩具誌『竹とんぼ』を編集していた。同誌は、鹿間時夫『こけし・人・風土』(築地書館、昭和29年4月)の「こけし書誌」によれば、昭和16年7月から18年9月まで11冊東京愛玩会から発行。同人は、石井康策、稲垣、遠前久作(正しくは、越前久作)、遠藤武、小澤一蛙、川口貫一郎、佐藤壽、杉浦藤太郎、鈴木凡太郎、牧野玩太郎、宮尾しげを、山田猷の12名。このうち、入手した葉書には稲垣のほか、杉浦(スキウラ)、山田、一蛙と思われる印が押されている。「けんもち」(剣持仁か)のように前記同人に含まれないサインもあるので、判読できない印の中にも前記同人に含まれていない人がいるのだろう。
参考:「『日本人形史』の山田徳兵衛から中山香橘宛年賀状(昭和12年)ーー百鈴会の川崎巨泉と中山香橘ーー - 神保町系オタオタ日記

*1:差出人は、横浜市の「越前久作方にて/竹とんぼ同人」とある。横浜市の住所は、『昭和前期蒐書家リスト:趣味人・在野研究者・学者4500人』(トム・リバーフィールド、令和元年11月)記載の越前の住所と番地まで一致する。蒐集分野は、「郷土玩具、特に社寺頒布の土鈴」