神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

みやこめっせの古本まつり中止にガックリ。しかし、三密堂書店で禿氏祐祥・若林正治旧蔵書を

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 昨日は三密堂書店をのぞきに。すると、入口の自動ドアに貼られたポスターに「中止」の文字が。京都府にも緊急事態宣言が出るので心配はしていたものの、やってくれるかもと期待していたので、ガックリときた。それでも気を取り直して、店内の本を漁っていると、「禿氏祐祥先生旧蔵書・昭和丙午歳若林正治改蔵」印のある『稀書展覧会目録』(天理大学図書館、昭和25年4月)を発見。21頁、200円。禿氏は昭和35年没、「昭和丙午歳」は昭和41年に当たる。「京都古書組合のムードメーカーだった若林春和堂の若林正治 - 神保町系オタオタ日記」で言及したように、若林は禿氏に師事していたというので、禿氏没後に蔵書を分けて貰ったのだろう。
 田村正「『和紙研究』解読」『向日庵』2号(向日庵、平成31年2月)によれば、奥本正人が昭和11年禿氏を訪ね、和紙についての研究雑誌発行の賛成を得て、若林と共に事務に当たることとなった。これが和紙研究会の発足、『和紙談叢』(昭和12年2月)や『和紙研究』(昭和14年1月)の創刊へ繋がっていく。しかし、奥本は昭和13年には『和紙談叢』から身を引き、詳しい経歴は不詳である。若林の旧蔵書が京都の市会に出たのであれば、奥本や和紙研究会に関する史料があるかもしれない。
 なお、前記蔵書印は国文学研究資料館の「蔵書印DB禿氏祐祥先生旧蔵書・昭和丙午歳若林正治改蔵」にも収録されている。また、禿氏の蔵書印も「蔵書印DB禿氏文庫」に出ている。
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